『Priscilla』『The Iron Claw』などA24作品がHBOとMaxで独占配信されることが決定(米国)

ワーナーは、A24と複数年にわたる契約を締結し、A24の作品群を劇場公開後、HBO、Max、Cinemaxにて独占配信・放映できることになったと明らかにした。

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『Priscilla』『The Iron Claw』などA24作品がHBOとMaxで独占配信されることが決定(米国)
Photo by Dia Dipasupil/Getty Images for FLC 『Priscilla』『The Iron Claw』などA24作品がHBOとMaxで独占配信されることが決定(米国)

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ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以下、ワーナー)は、A24と複数年にわたる契約を締結し、A24の作品群を劇場公開後、HBO、Max、Cinemaxにて独占配信・放映できることになったと明らかにした。

Varietyによると、A24とワーナーのアウトプット契約は、A24とパラマウント・グローバルのShowtimeの契約が満了した後に締結されたとのことだ。

新たな契約のもとで公開される作品には、エルヴィス・プレスリー役をジェイコブ・エロルディ、プリシラ・プレスリー役をケイリー・スピーニーが演じるソフィア・コッポラ監督の伝記映画『Priscilla(原題)』、1980年代初頭にプロレス界に歴史を刻んだ実在のフォン・エリック兄弟をザック・エフロンとジェレミー・アレン・ホワイトが演じるショーン・ダーキン監督の近作『The Iron Claw(原題)』、ニコラス・ケイジ主演のクリストファー・ボルグリ監督のコメディ『Dream Scenario(原題)』などがあるという。

さらに両社は、HBOとMaxにおけるA24の映画ライブラリーのライセンス契約を延長。HBOとMaxに提供されるA24作品のセレクションには、オスカー受賞作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『ザ・ホエール』『Past Lives(原題)』などが含まれる。

ワーナーのコンテンツアクイジション担当EVPであるロイス・バトルマン氏は「A24との関係を継続することで、受賞作と最近のファン人気作をHBOとMaxの加入者に届けることができ、HBOとMaxに素晴らしい付加価値が加わります」「A24のパイプラインから生まれる多様なストーリーが、視聴者にとって非常にインパクトのあるものにしています」と語った。

また、MaxやA24のライバル企業を見ても、今回の契約は戦略的だったと言える。Indie Wireによると、Maxの加入者数は、ShowtimeとParamount+よりもはるかに多く、MaxとDiscovery+の合計加入者数9,510万人の大半はMaxからのものであるという。これと比較するとParamount+の加入者数は6,300万人に過ぎず、そのすべてが広告なしの“with Showtime”を選択しているわけではない。

A24の主なライバル・NEONの作品は、2017年に交わしたアウトプット契約の一部としてHuluで配信されている。Huluの加入者数は4,850万人だが、現在進行中のDisney+との統合により、Huluの映画やシリーズはより大きな市場にまもなく到達するかもしれない。

一方で、今回のHBOとMaxの契約は映画だけであり、ドラマは対象外となる。A24制作のNetflixでの「BEEF/ビーフ」は好評であり、Showtimeでのネイサン・フィールダーの「The Curse」もまだ数エピソードがプレミア上映されている。なお、A24は以前、Apple TV+向けにコンテンツを制作する契約を結んでおり、映画『オン・ザ・ロック』やステファン・カリーのドキュメンタリー『Underrated(原題)』を提供していたが、その契約は終了しているため、他社との今後の連携も気になるところだ。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。