米ディズニー株主が元・現CEOらを提訴、Disney+の損失隠蔽とコスト移動詐称を訴える

株主は、ディズニー幹部の虚偽と不作為が原因で、同社株の市場価値が下がったと主張している。

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米ディズニーが、動画配信サービスDisney+の財政状況を隠蔽したことにより損害を被ったとして、株主から新たな訴訟を起こされたことが明らかとなった。

The Hollywood Reporterによると、8月23日(水)に米投資会社Stourbridge Investmentsがカリフォルニア連邦裁判所に提出した訴状では、ディズニーの前CEO(最高経営責任者)だったボブ・チャペック氏と現CEOのボブ・アイガー氏、元CFO(最高財務責任者)のクリスティン・マッカーシー氏をはじめ、複数の元・現幹部らが訴えられたとのこと。

原告は訴状で、ディズニーが2020年12月から現在に至るまで株主に対し、同社の公開提出書類および委任状において、Disney+の真の財務状況に関して「重大な誤解を招く記述/または不作為」を行なったと主張しており、以下のように綴られている。

「これらの不利な事実を隠蔽するために、被告らはDisney+の損失の程度を明かさずに詐欺的な計画に関わり、Disney+加入者の成長軌道が持続可能であるように見せかけ、2024年におけるDisney+の目標達成が不可能であるにもかかわらず、達成可能であるように見せかけた。具体的には、被告は新たに設立したDMED(Disney Media & Entertainment Distributionの略:ディズニーが製作するコンテンツの流通を一括して手がける部門)を利用し、Disney+のプラットフォームからレガシー・プラットフォームへ不適切にコストを移動した」

株主らは、ボブ・チャペック氏とカリーム・ダニエル副社長、クリスティン・マッカーシー氏がDisney+の損失を隠蔽するために、もともとDisney+のために製作されたドラマ「秘密結社ベネディクト団」や「天才少女ドギー・カメアロハ」をディズニー・チャンネルで放送し、配信サービスが実際よりも成功しているように見せかけたと訴えている。

またDeadlineによると、投資家たちは利益を喧伝する幹部らの発言も問題視しているという。例えば、2020年12月にチャペック氏は、「Disney+は12月2日の時点で8680万人の加入者を獲得し、我々の想像を超えました。このプラットフォームの“成功 ”は、DTC(ディレクト・トゥ・コンシューマー)ファーストのビジネスモデルに対する継続的な加速への自信を強めました」と発言。また同氏は、「2024年末までにDisney+を黒字化する」と何度も繰り返し、訴状では、「この予測は、そのセグメントの予想収益性を悪化させることなく、事前の予測から3倍という驚異的な増加を意味するものであった」と訴えている。

ディズニーは、2021年に加入者数の伸びが低迷したことを認めた後、2022年に収益と売上高、利益ともにアナリストの予想を大幅に下回ったと報告。2022年第4四半期でDisney+、ESPN+、Hulu、Hotstarを含む消費者直販部門は14億7,000万ドルの営業損失を計上し、前年同期の6億3,000万ドルの損失から倍以上も増加している。その当時、ディズニーの株価は13%以上も急落し、株主はディズニー幹部の虚偽と不作為が原因で同社株の市場価値が下がったと主張した。

今回のStourbridge Investmentによる提訴は目新しいニュースではなく、すでに少なくともディズニーは同様の訴訟2件で訴えられている

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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