映画『バービー』中東で検閲問題に直面、公開中止の可能性も

映画『バービー』が、中東で検閲上の問題に直面している。

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『バービー』8月11日(金)全国ロードショー
©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. 『バービー』8月11日(金)全国ロードショー

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映画『バービー』は、7月21日に全米で公開されてから世界中で圧倒的な人気を見せており、現在北米興行収入は約3億8,000万ドル(約547億円)、世界興行収入は約8億1,000万ドル(約1,164億円)を記録している。

一方でVarietyは、ワーナー・ブラザース(以下、ワーナー)の現地大手配給パートナーであるVox Cinemasが『バービー』の中東での7月19日の公開予定から8月31日に延期したと報じている。ある事情通によれば、ワーナーが『バービー』におけるLGBTQ関連のナレーションや台詞に関連する検閲当局からの編集要求を解決しようとしているためだという。しかし、この要求通り内容が変更される可能性は低く、サウジアラビアを含む中東の一部地域では公開されないことも考えられる。

実際、本作にはLGBTQについてあからさまに言及しているシーンはないとされており、さらにマーゴット・ロビーはイギリスのLGBTQ雑誌「Attitude」のインタビューで「(映画の中で人形たちは)実際には性的指向を持っていない」と語っている。

中東では、セックス、同性愛、宗教問題に関する映画は、検閲規則に従うために日常的にカットされており、検閲官が提案したカットをスタジオが認めない場合は上映禁止になるとのことだ。6月に公開された『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』では、トランスジェンダーの旗が描かれ、「Protect Trans Lives(トランスジェンダーの命を守ろう)」と書かれたポスターが背景になっているシーンがあったため、アラブ首長国連邦では公開1週間前に上映禁止となった。


『バービー』は、中国が南シナ海の一部の領有権を主張するために独自に使用している「九段線」が描かれた地図が登場するシーンをめぐって、ベトナムでの公開が禁止された。なお、『バービー』は8月11日(金)より日本公開される。

Other Sources:Box Office MojoHAARETZ
《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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