日本BS放送が正念場を迎えている。
2023年8月期上半期の売上高は前年同期間比0.9%減の60億4,100万円、営業利益は同17.7%減の11億900万円であった。
通期の売上高を前年同期比2.0%増の125億円、営業利益を同24.4%減の18億1,000万円と予想している。大幅な減益となる見込みだ。
利益を圧迫している要因が番組関連費用の増加。この先行投資が再成長への布石なのか、衰退への第一歩なのか。岐路に立たされている。
営業利益率が日本テレビよりも高い理由
日本BS放送はBSデジタル放送BS11を運営する会社。ビックカメラの子会社で、地上波系からは独立している。
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※決算説明資料より
1999年8月にビックカメラによって設立された日本ビーエス放送企画が前身。元々は、ビックカメラが衛星放送の番組や普及に関する調査を行うという目的があった。2000年12月に『知求チャンネル』の放送を開始。2014年3月に東京証券取引所第二部に上場。2015年3月に一部に指定替えした。上場後もビックカメラは60%超の株式を保有している。
業績は極めて安定している。目を引くのが営業利益率の高さ。2022年8月期の営業利益率は20%近くあった。キー局の中で業績好調な日本テレビホールディングスでさえ、メディア事業の営業利益率は15%程度である。
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※決算短信より
これはデジタル放送と地上波の収益構造の違いが関係している。地上波は系列ローカル局にネットワーク費を支払わなければならない。日本テレビ放送網はNNNという地方局を抱えており、その数は30社に上る。集めた広告費を地方局の放送対価として支払っているのだ。地方局はこのネットワーク費への依存度が高く、売上高の1/3程度を占めていると言われている。
地上波放送免許は都道府県単位で交付されている。キー局は放送網を広げるため、ローカル局とタッグを組まなければならない。
しかし、衛星を利用するBS放送はローカル局を経由しないため、ネットワーク費を支払う必要がない。利益率が高い要因の一つとして、収益モデルの違いがある。
そのため、無料放送である日本BS放送はシンプルな収益構造をしている。広告主からの広告料が主な収入で、番組の買い付けと制作費、放送に必要なその他経費、視聴者を集める広告宣伝費が主なコストとなる。
シルバー層からアニメファンへと視聴者を拡大
日本BS放送の広告収入は主に2つに分かれている。タイム収入とスポット収入だ。タイム収入は番組内のCM放送枠を販売して得る収入で、番組とCMがセットになったもの。スポット収入は番組に関係なくCMを放送する時間枠を販売するものである。他のテレビ局と同じく、タイム収入が多くを占めている。
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※決算説明資料より