チケット代4,500円~、「109シネマズプレミアム新宿」がオープン 支配人に戦略を聞いた

歌舞伎町にオープンした「109シネマズプレミアム新宿」。通常の映画館の2~3倍となるプレミアムな価格設定の背景や、本映画館の魅力を支配人に伺った。

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チケット代4,500円~、「109シネマズプレミアム新宿」がオープン 支配人に戦略を聞いた
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  • オフィシャル素材より
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4月14日(金)、2014年12月31日に閉館した「新宿ミラノ座」の跡地に「109シネマズプレミアム新宿」がオープンした。

料金プランは「CLASS A」(4,500円)と「CLASS S」(6,500円)と通常の映画館の2~3倍。強気な価格設定ではあるが、全シアターに坂本龍一氏が監修した音響システム「SAION -SR EDITION-」を完備。3面ワイドビューシアター「ScreenX」が見られる(※)シアター6、35mmフィルム映写機を搭載しているシアター8など、バラエティ豊かな映像も楽しめる。なにより、「CLASS A」「CLASS S」どちらのシートもリクライニング機能が完備されており、周囲を気にすることなく映画の世界に没入することが可能だ。

CLASS Sの座席。プライベート感のある設計になっている
※「ScreenX」作品は他の映画館同様、+700円の追加料金が必要

また、ロビーは上品かつ落ち着きのある雰囲気で、映えスポットとしても活用できる。映画ファンのみならず様々な人がオープンを心待ちにしていた「109シネマズプレミアム新宿」。総支配人を務める増永直人氏に、オープンにかける意気込みからターゲット層など、幅広く話を聞いた。

歌舞伎町のイメージを変えたい

――まず東宝シネマズやピカデリーなど新宿駅周辺は激戦区です。ライバルが多い中での開業に不安などはなかったですか?

不安や抵抗などはありません。私達は以前、「新宿ミラノ座」を運営しており、その歴史を踏まえたうえで今回オープンできるため、意義深さを感じています。有名な映画館が周辺には多いですが、“敵対する”というよりは、新宿という街から映画の魅力を一緒に発信していきたいです。

――今では多少落ち着きましたが、歌舞伎町と聞くとまだまだ怖いイメージを持っている人もいるかと思います。街の雰囲気も開業するうえでは意識しましたか?

確かに新宿ミラノ座の運営に携わっていた人から当時のエピソードを聞くと、本当にお話できないような過激な話が飛び出します。(笑)今尚そういったイメージは根強いです。ただ、「歌舞伎町の街とともに、エンターテインメントを通して新たな観光拠点を創り上げていきたい」という意思を持って取り組んだ『歌舞伎町一丁目地区開発計画(新宿TOKYU MIKANO再開発計画)』に私達も参画しています。シネシティ広場を中心に、“大衆文化・娯楽の企画、制作、 発表のまち”としての情報発信イベントなども積極的に実施する予定です。そういったアクションを通して、エンタメの力で歌舞伎町のイメージを変えていければと考えています。

チケット代は「決して高くない」

――他の映画館と比較すると強気な価格設定に感じました。チケット代を高額にした狙いを教えてください。

最初から「高額にしよう!」と決めていたわけではありません。これまでにない映画体験を追求するため、音響や座席をより良い鑑賞環境にこだわった結果、現在の価格設定に落ち着きました。

――気軽に何度もリピートすることが難しい価格だと思いますが、どういった層をターゲットに据えていますか?

主に「自分の好きなものにはお金を惜しまない」「ハイクオリティな環境で作品の魅力に浸りたい」と考えている人や、50~60代の男性です。また、「特別な日に特別の時間を過ごしたい」という非日常体験を求める人も意識しています。ただ、館内には様々なアート作品があり、ロビーはゆったり過ごせる空間を実現しました。他にも、『WELCOME CONSESSION』として、塩とキャラメルの味ごとに豆の種類を変えたポップコーンや幅広いソフトドリンクを食べ飲み放題で提供しており、それらも含めた金額です。我々としては決して高いとは考えていません。

ソフトドリンク、ポップコーンは食べ飲み放題。

――とはいえ、なかなか手が出せない人も少なくなさそうですが…。

数日前からチケット販売が開始されたのですが、「CLASS S」から売れている状況です。やはり「より良い環境で映画を見たい」という需要があるのだと感じました

インバウンドも狙いたい?

――オープニング作品として『BTS: Yet To Come in Cinemas』や『SEVENTEEN POWER OF LOVE : THE MOVIE』なども上映されます。このセレクトは若い女性にもリーチしようという狙いからですか?

そうです。やはりシネコンですので、50~60代男性を意識しつつも、基本的にはオールターゲットです。映画は大衆娯楽という側面もありますので、若い世代にも興味を持ってもらうために、K-POPカルチャーも意識したラインナップにしました。

――「109シネマズプレミアム新宿」が入っている「東急歌舞伎町タワー」内にはホテルも入っています。海外からの旅行者も見据えたインバウンド需要も計算に入れていますか?

海外の人が「日本の映画館に行こう」とはなかなか思ってもらえないでしょう。とはいえ、最近では字幕が表示される“字幕メガネ”のクオリティも上がっており、「日本のアニメ映画を日本の映画館で見たい」という需要もあるかもしれません。また、舞台や音楽ライブの上映など、“マルチパーパスシアター”として映画以外のコンテンツを上映しながら、国内の方だけでなく海外の方にも喜んでもらえる取り組みを検討したいです。

上映前後の時間も楽しめる

坂本龍一氏のBGMが流れる、プレミアムなロビー。

――昨今はサブスクが一般化し、またコロナ禍の影響によって「映画は家で見るもの」という認識も広まりました。「109シネマズプレミアム新宿」では、どのように映画を楽しんでほしいですか?

ここ数年間で映画の見方は多様化しました。ただ、「109シネマズプレミアム新宿」では、大画面で、こだわり抜いた音響で、一緒に来た人と感想を話し合える空間をデザインしました。最高の映画体験を味わってもらい、素敵な思い出を作ってもらえるような映画館作りに努めていきたいです。

――特にロビーの居心地が良く、映画の余韻に浸ったり感想をのんびり話したりなどができるので、これまでにない鑑賞後の楽しみを得られそうですね。

落ち着いた空間、ということもありますが、「109シネマズプレミアム新宿」ではチケットを購入した人しかロビーに入ることはできません。ロビー内の人混みを避けるために、上映時間直前に来たり上映後はすぐに映画館を後にしたりする必要はありません。上映前のワクワク感や上映終了後の感動など、上映時間以外でも余すことなく堪能できるでしょう。ぜひ足を運んでいただき、映画の新しい魅力に気付いてもらえると嬉しいです。

※4/17更新:サムネイル画像を更新しました

《望月悠木》

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望月悠木

フリーライター 望月悠木

政治経済、社会問題、エンタメに関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。