Photo:Wild Bunch International Sales公式サイトより
ヨーロッパ有数の映画配給・セールス会社であるワイルドバンチの配給部門であるワイルドバンチ・インターナショナルが、社名を「グッドフェローズ」に変更した。
同社はフランスを拠点とし、長年にわたりカンヌ国際映画祭などの主要マーケットで強い影響力を持つ企業だ。日本の映画ファンにとっては、スタジオジブリ作品や是枝裕和監督作品、そして新海誠監督の『すずめの戸締まり』などを世界市場へ送り出している「海外展開の重要パートナー」として知られている。
新社名の「グッドフェローズ」と聞いて、映画ファンなら真っ先にマーティン・スコセッシ監督の傑作マフィア映画(1990年)を思い浮かべるだろう。
米Variety誌などが報じたところによると、この社名変更は当初1月に行われた記念パーティーで発表される予定だった。しかし、スコセッシ監督からタイトル使用の許可を得るための調整が必要となり、正式発表がこのタイミングまでずれ込んだという。 なお、旧社名の「ワイルドバンチ」も、サム・ペキンパー監督の同名映画(1969年)へのオマージュであったことから、映画史の名作を社名に冠する伝統は新会社にも引き継がれた形だ。
ワイルドバンチ・インターナショナルは2019年のワイルドバンチの幅広い再編に伴い販売会社として独立し、同社の共同設立者であるヴァンサン・マラヴァル氏とブラヒム・シウア氏が運営して来たが、社名変更後も体制の変更はないとのことだ。
今回のニュースは、単なる海外企業の名称変更にとどまらず、日本映画の海外戦略にとっても無視できない意味を持つ。それは同社が担う「セールスエージェント(国際販売窓口)」という役割の重要性ゆえだ。
セールスエージェントとは、製作された映画の権利を預かり、世界各国の配給会社に売り込む、いわば「映画貿易の商社」のような存在だ。特にカンヌやベルリンといった国際映画祭に併設されるマーケットにおいて、彼らの交渉力とブランド力は、その作品が「世界でどれだけ広く上映されるか」を決定づける鍵となる。
「グッドフェローズ(旧WBI)」は、そのトッププレイヤーとして、長年にわたり日本映画を世界へ送り出す架け橋として機能してきた。 スタジオジブリ作品の国際展開を支え、カンヌ常連である是枝裕和監督作品の海外セールスも引き受けている。直近では新海誠監督の『すずめの戸締まり』や、6月公開予定の是枝監督最新作『怪物』の海外セールスも担当。これらの作品が国際映画祭のコンペティション部門で華々しく紹介され、世界的な評価を獲得する背景には、同社の強力なネットワークと「目利き」としての信頼が存在しているのだ。
独立性を高め、名作映画の名を冠して再出発した「グッドフェローズ」。彼らが今後、どのような日本映画を発掘し、世界中のスクリーンへ届けてくれるのか。日本の映画産業にとっても、その動向は極めて重要だ。

