アニメーションの制作会社IGポートの株価が上昇している。2022年12月は1,700円前後で取引されていたが、年末にかけて2,000円台を突破。2023年1月23日は2,299円の高値をつけた。
株価急上昇の理由は、IGポートグループの制作会社ウィットスタジオが、人気アニメ「SPY×FAMILY」のSeason2と劇場版を手がけることが決定したため。劇場版は2023年に制作にとりかかる。
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※「『SPY×FAMILY』TV アニメーション Season 2 及びオリジナル劇場版制作決定のお知らせ」より
「鬼滅の刃」の劇場版が大ヒットしたアニプレックスは、2021年3月期の純利益が前期の2倍に膨らんだ。IGポートの株価が急上昇した要因の一つに、映画『SPY×FAMILY』のヒットで利益が押し上げられるという期待感がある。
IGポートは主力の映像制作事業での苦戦が続いており、事業単体では黒字化ができていない。株式の思惑買いが先行したように、「SPY×FAMILY」はIGポートの起爆剤となる可能性がある。
増益要因は出版と版権
IGポートの株価を押し上げた要因はもう一つある。2023年1月13日に2023年5月期の配当予想の修正を発表したことだ。1株18円としていた年間配当予想を25円とした。2022年5月期は5円だった。
IGポートの会社全体の業績は堅調だ。配当修正とともに、業績の上方修正も発表している。4億2,500万円としていた営業利益は7億9,500万円へと86.9%、純利益も3億5,600万円から7億6,600万円へと59.8%引き上げた。予想通りに着地すると、2023年5月期の本業で稼ぐ力を表す営業利益率は7.2%となり、前期から2.4ポイント上昇する見込みだ。
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※決算短信より
ただし、業績を押し上げているのは出版と版権事業の方。グループ会社マックガーデンが『月刊コミックガーデン』を定期刊行し、「魔法使いの嫁」「転生貴族の異世界冒険録」といった人気コミックスを世に送り出している。また、「進撃の巨人」「攻殻機動隊」など根強い人気を誇るタイトルの版権も持っており、利益面では出版と版権が予想を上回る好調ぶりだった。
2023年5月期のIGポートは減収を見込んでいる。映像制作事業が振るわない。
ただし、これはアニメーションの業界構造が大きく影響しており、IGポート単体で抱えている課題とは言い切れない。IGポートはそれを踏まえた上で、中長期的に戦略を立てる必要がある。
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アニメーションの制作会社が抱える問題点が3つある。