アナ・デ・アルマスのファン、『イエスタデイ』本編で出演シーンが観られず訴訟 判決が下る

予告編に登場していたお目当ての俳優が本編では登場しなかった!連邦判事はこういったケースについて、「瞞的な映画の予告編を公開した場合、虚偽広告法に基づき訴えられる可能性がある」と判断

映像コンテンツ 制作
アナ・デ・アルマス
Photo by Emma McIntyre/WireImage アナ・デ・アルマス

映画スタジオは欺瞞的な映画の予告編を公開した場合、虚偽広告法に基づき訴えられる可能性があると、連邦判事は火曜日に判決を下した。

スティーブン・ウィルソン連邦地裁判事は、ビートルズのいない世界を描いた2019年公開の映画『イエスタデイ』をめぐる裁判で判決を下した。アナ・デ・アルマスのファン2人が1月に訴訟を起こし、予告編でアルマスを見て映画を借りたが、本編では彼女の出演シーンがカットされており、お目当てのシーンが観られなかったと主張していた。

ユニバーサル社は、映画の予告編は憲法修正第1条の下で広範な保護を受ける権利があると主張し、訴訟の棄却を求めた。同スタジオの弁護士は、予告編は映画のテーマを伝える3分間の「芸術的、表現的作品」であり、したがって「非商業的」言論とみなされるべきだと主張した。

しかし、ウィルソン氏はその主張を退け、予告編は商業的な言論であり、カリフォルニア州の虚偽広告法と不正競争防止法の適用を受けると判断した。「ユニバーサル社は、予告編に創造性と編集上の裁量があることは正しいが、この創造性は予告編の商業的性質を上回るものではない」「予告編は、消費者に映画のプレビューを提供することによって、映画を販売するために設計された広告です」と、ウィルソン氏は述べた。

この問題に関するブリーフィングで、ユニバーサルの弁護士は、映画の予告編は長い間、完成した映画には登場しないクリップを含んできたと主張した。ユニバーサル社のもうひとつの作品である『ジュラシック・パーク』では、予告編のすべてが映画に登場しない映像で構成されていたことを例に挙げた。また、予告編を「商業的言論」に分類すると、不満を持つ映画ファンから、映画が予告編による期待に応えられなかったと主観的に主張する訴訟のオンパレードになりかねないと主張した。

これに対しウィルソン氏は、虚偽広告法は「合理的な消費者」の「かなりの部分」が誤解を受ける可能性がある場合に適用されると述べた。さらに「当裁判所の判示は、ある女優やシーンが映画に登場するかどうかという表現に限定されており、それ以外のものではない」とし、「『イエスタデイ』の予告編から、視聴者がデ・アルマスがこの映画で重要な役割を果たすと期待するのはもっともなことである」と示している。

アナ・デ・アルマスは当初、ヒメッシュ・パテル演じる主人公の恋愛対象の相手として登場する予定だった。主人公は、ジェームズ・コーデンのトークショーのセットで彼女と出会い、パテルがビートルズの曲 「サムシング」を彼女に向けて歌う予定だった。脚本家のリチャード・カーティスは、パテルのキャラクターがリリー・ジェームズ演じるメインの恋愛相手から離れることを観客が嫌がったため、彼女のシーンはカットされたと説明している。

本報道を見た日本の映画ファンからは、SNS上で「ネタバレ防止のために、嘘で固められた予告も多い」「(逆もしかりで)予告編で本編の重要な展開が分かるものも嫌だ」「今後の映画予告の在り方が変わりそう」といった声もあがっている。

Source:Variety
《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。