コロナ禍での減少傾向から一転、実は増加している映画館。タウンページが登録件数から映画館の統計を発表

多様なデータベースを持つタウンページが全国の映画館の登録件数に注目し、どの地域に映画館が多いのかを都道府県別に調査。業界の状況と照らし合わせ、結果を発表した。

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NTTタウンページが、映画館の10年間の登録件数推移と都道府県別の登録件数ランキングを発表した。映画館の登録件数から業界の状況を考察する。

タウンページデータベースは、約600万件(2022年3月時点)の事業所・店舗情報が、約1,900の業種ごとに分類された著作物で、毎月更新により鮮度を維持。過去30年間のデータベースをアーカイブとして保管しており、最新のデータベースと組み合わせて比較検討できる統計情報を保有している。

今回、多様なデータベースを持つタウンページは全国の映画館の登録件数に注目し、どの地域に映画館が多いのかを都道府県別に調査。業界の状況と照らし合わせ結果を発表した。

全国の映画館の登録件数は、2013年から2021年まで毎年減少傾向にあり、10年前と比べて映画館の登録件数は約200件近く減っている。2019年は28件の減少、2020年は4件の減少、2021年は12件の減少と登録件数の下落の流れを止めることができないまま、登録件数500件を割り込んでしまいそうな状況だった。

登録件数の減少をおさえられなかった理由としては、コロナウイルス対策が影響していた。開館時間の短縮や休業、緊急事態宣言が解除されてからも上映が予定されていた映画の延期や収容人数の制限、館内飲食の制限などがあり、コロナ前と同じ環境を作るのが難しい状況にあったからだ。また、コロナウイルスまん延防止による行動自粛が要請される中、動画配信サービスが急拡大し、リスクのある映画館で映画を観るより家で視聴する方が手軽で安心という風潮が広がった。

しかし、2022年に入ると前年の2021年に比べて登録件数が50件増加したことが分かった。映画館数が回復した理由としては、コロナ規制の緩和でファミリー層の来場が増加したことや知名度の高い複数のアニメ映画がヒットしたことなどが挙げられる。また、巨大スクリーンで観る迫力のある映像や音響など、映画館ならではのメリットをアピールできたことも回復の後押しをした。3Dなど映画館でしか体験することのできない体感型のエンターテイメントを提供し、付加価値のある映画鑑賞の方法が増えたことが復調のきっかけとなった。

市場規模としてはまだまだコロナ前の水準には戻っていないが、今後の状況を左右するのは映画館がいかに「体験価値」を利用者に与えるかがカギになりそうだ。

次に、2020年から2022年にかけての都道府県別の映画館の登録件数と10万人あたりの映画館の登録件数の調査結果を見ると、人口10万人あたりの映画館登録件数は、1位が岩手県、2位が長野県、3位が大分県という結果になった。1位の岩手県は、2020年の映画館登録件数が10件、10万人あたりの登録件数が0.83件で2位だったが、2021年に1件増えて10万人あたり0.91件に上昇し、2年連続の1位に。2位の長野県は、2020年の映画館登録件数17件、10万人あたり0.83件で1位だったが、2021年は1件減少し2位に後退。3位の大分県は、2020年のランキングではTOP10圏外だったが、2021年に登録件数7件、10万人あたり0.62件でランクインした。反対に、2020年に3位を獲得した沖縄県は、毎年映画館が減少し、2022年は10位まで順位を落としている。

減少を続けてきた映画館だが、2022年に入り持ち直しの傾向が見られる。コロナウイルス対策の緩和や体験型の新たな映画館が登場したことで、映画館で鑑賞するニーズが増えてきているからともい言える。映画館の登録件数自体はコロナ禍前の水準に戻ってきており、体験型映画館の拡大が進めば、今後も映画館数は増加していく可能性も高い。

調査概要

都道府県別 人口約10万人に対する「映画館」の登録件数分布及び年別の推移を掲載しています。
■対象期間と抽出方法:2020年・2021年・2022年の各6月時点で、タウンページデータベースの業種分類「映画館」に登録されている件数を集計し算出。
※1人当たりの登録件数は、小数点以下数桁になるため10万人換算をしています。

https://www.ntttp-db.com/post/ranking019

《Branc編集部》

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