仏2027年予算案、緊縮が映像産業も直撃か。公共放送予算削減と軽減税も見直し

フランス政府は10月1日、2027年予算案(PLF 2027)を国民議会に提出した。財政赤字の圧縮を最優先する緊縮路線は文化政策にも及び、公共放送への拠出削減と有料テレビへの付加価値税(TVA)引き上げが盛り込まれた。放送局やプラットフォームに投資を義務づけ、税制で報いる──フランスの映像政策を支えてきた「循環」の両輪が、同時に揺らいでいる。

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写真:代表撮影/ロイター/アフロ
写真:代表撮影/ロイター/アフロ

2026年10月1日、フランス政府が2027年予算案(PLF 2027)を国民議会に提出した。掲げたのは総額540億ユーロの財政再建努力で、うち430億ユーロを2027年の予算関連法案で手当てする。財政への不安は市場にすぐ表れ、10年物国債の利回りは2002年以来の水準まで上昇。欧州の金融市場に動揺が走った。

削減の影響は広範囲に及ぶ。文化政策も例外ではなく、映像分野には公共放送の予算削減と有料テレビへのTVA引き上げが盛り込まれた。業界の反発はすでに強い。

540億ユーロの「努力」と、2002年以来の国債利回り高水準

政府の目標は、2027年の財政赤字をGDPの5%に抑えることだ。そこに必要な「努力」が540億ユーロ、うち430億ユーロを2027年の予算関連法案でまかなう。一律の削減ではなく「政策分野ごとの的を絞った改革」で進めるという。守るもの、変えるもの、優先分野へ振り向けるものを見極める、というのが政府の説明である。

市場の反応は厳しかった。10月1日、フランスの10年物国債(OAT)の利回りは取引時間中に4.9629%をつけ、2002年以来の高水準に達した。ドイツ国債とのスプレッドも一時133.18ベーシスポイントまで開き、こちらは2012年5月以来の幅だ。仏財務省の国債管理庁(AFT)は、2027年に中長期債を過去最大の3,400億ユーロ発行すると発表している。

文化支援大国として知られるフランスだが、財政再建の圧力は文化予算にも向かっている。

文化省予算は36.5億ユーロに

予算案に付された文化分野の年次実績計画(PAP)によれば、文化省の主要予算にあたる「文化」ミッションの支払予算は36億4,920万ユーロ。2026年当初予算の37億4,455万ユーロから2.55%の減である。

分野別では、舞台芸術と美術を支える「創造」部門が9億6,296万ユーロで3.50%減。舞台芸術の制作・上演支援に限れば4.92%減まで落ちる。芸術文化教育を含む「文化の民主化」の下げ幅はさらに大きく、8.10%減だ。

カトリーヌ・ペガール文化相は10月2日の記者向け説明で、2026年度中にすでに取り消された6,400万ユーロを含めて比較すれば減少は0.6%にとどまると強調した。削減は一律ではなく「個別に」行うとも述べている。

公共放送は4,700万ユーロ減、France Télévisionsは2029年まで縮小

映像業界により直接響くのは公共放送向けの予算だろう。政府資料では、2027年の各社への拠出は38億1,651万ユーロ。2026年当初予算から4,680万ユーロ、率にして1.21%減る[参照]。

減額の大半はフランス・テレビジョン(France Télévisions)が引き受ける形だ。同社への拠出は23億7,865万ユーロで、前年から4,690万ユーロ(1.93%)減。Radio Franceは0.38%減、INAは0.52%減、Arteは前年並みで、France Médias Mondeだけが1.02%増となっている[同資料]。

注目したいのは、資料に書き込まれた先の見通しである。フランス・テレビジョンへの拠出は2028年に23億3,800万ユーロ、2029年には21億7,872万ユーロと前年比6.81%減になる見込みだ。公共放送全体でも2029年は35億6,113万ユーロ、5.61%の減。政府はこの水準を「2026~2028年の3年計画に沿ったもの」と位置づけ、各社を「財政健全化の努力に参加させつつ、公共サービスとしての使命の継続を保証する」と説明する[同資料]。

テレビの軽減税見直しは「簡素化」か、「文化的税制の断絶」か

もう一つの焦点が税制だ。予算案の第16条は、テレビサービスに適用されてきた10%の軽減税率の見直しを提言している。

《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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