カリフォルニア州知事、AIの無許可使用から俳優を保護する法案2つに署名

知事による法案の署名は、現在進行中のビデオゲーム俳優らのストライキにも影響する可能性がある。

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Gavin Newsom
Photo by Justin Sullivan/Getty Images Gavin Newsom

米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、AI(人工知能)の無許可使用から俳優や声優を保護する法案2つに署名したことが明らかとなった。

IndieWireによると、9月17日(火)に知事が署名した一つ目の法案は、「故人の遺産相続人の事前の同意なしに、商業目的で故人の声や肖像をデジタル・クローン化することを禁止する」というもの。例として、故コメディアンのジョージ・カーリン氏のパフォーマンスなどを再現するために、遺産管理団体の同意なしにAIで1時間のコメディ・スペシャル番組を制作したメディア会社が挙げられている。昨年、 AIから保護を求めてストライキを展開した映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)の組合員らは、「この法案はAI濫用を抑制するために不可欠」だと支持している。

2つ目の法案は、「AIの使用方法について、個人が明確かつ具体的な説明に同意しない限り、個人による実際のパフォーマンスの代わりに、パフォーマーの声や肖像のデジタル・レプリカの使用を許可する契約条項を禁止する」という内容となっている。

両法案は、SAG-AFTRAが昨年のストライキで求めていたAIからの保護を約束する延長線上にあり、俳優や声優だけでなく、カリフォルニア州に暮らす全州民にも適用されるため、大きな意味を持つのではないだろうか。また両法案は、AIの使用から権利を保護するために、ビデオゲーム俳優らが続けているストライキにも影響を及ぼす可能性がありそうだ。


ABC Newsによると、ニューサム知事は声明にて、「AIとデジタルメディアが、どのようにエンターテインメント業界を変化させているかについては、未知の領域を歩み続けています。ですが、我々の目標は常に労働者の保護です。この法律は労働者の保護を強化し、いかに彼らの肖像が使用されるか、または使用されないかを明確にしながら、業界が繁栄し続けることを保証します」と述べている。

知事は、両法案に署名するためにロサンゼルスのSAG-AFTRA本部へ立ち寄り、フラン・ドレシャー会長と、全米事務局長・首席交渉官のダンカン・クラブツリーアイルランド氏と面会した。アイルランド氏は両法案について、「AIの時代に個人の権利を優先する、切望されていた法案です」と述べ、同意のないAIの複製から人々やを守る道を切り開いてきた知事を称えた。

ニューサム知事は、9月30日までに提案に署名するか拒否権を行使するか、あるいは署名なしで法律として成立させるかを選択できる。他の州もカリフォルニア州に続くかどうか、今度の動向が注目されている。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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