Appleスタジオが続く赤字対策として、オリジナル映画やドラマシリーズ制作の支出を抑え、Apple TV+に他スタジオのライセンス作品を増やす可能性があると報じられている。
これまでにApple TV+は、2年連続エミー賞で最多部門の受賞を果たしたコメディドラマ「テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく」をはじめ、アカデミー賞作品賞に輝いた『コーダ あいのうた』や、オスカー候補にあがった『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』など質の高い作品を生み出してきた。しかし、2019年にApple TV+がローンチして以来、視聴者の定着率という点では、依然としてNetflixやAmazonプライム・ビデオから大きく遅れをとっている。
Bloombergによると、Apple TV+は米国のテレビ視聴者数のわずか0.2%しか獲得できておらず、Apple TV+における1ヶ月あたりの総視聴数は、Netflixの1日あたりの数字よりも少ないのだという。そのような状況にもかかわらず、Apple TV+は1作品に莫大な制作費をかけることで知られており、マーティン・スコセッシ監督、リドリー・スコット監督、マシュー・ヴォーン監督の作品に合計で5億ドル(現為替で約790億円)以上もの巨額を投入。ところが、いずれも興業収入面では期待外れに終わり、Apple TV+の加入者数も伸び悩んでいる。
Apple TV+は独自のライブラリを構築することに注力し、AmazonがMGMを買収したように他スタジオとの合併には手を出さず、Netflixのように他スタジオの旧作から新しいヒットを生み出すこともしていない。Apple TV+は2019年のローンチ以来、オリジナルコンテンツに固執する戦略を堅持してきたが、今後はその方針も変わるかもしれない。