ここ近年、マレーシアでは同国の映画のみならず、ハリウッドや他国で制作された映画の検閲も強化され、上映を規制する動きが強まっているとVarietyが報じている。
マレーシアではピクサーのアニメーション映画『バズ・ライトイヤー』や、マーベル映画『ソー:ラブ&サンダー』がLGBTQ+のサブプロット及びキャラクターが原因で公開中止となり、インドで大ヒットした映画『パドマーワト 女神の誕生』は宗教的な理由で公開されなかった。
マレーシアで映画の検閲・規制が強化
連邦立憲君主制のマレーシアは、マレー人、中国人、インド人ほかで構成される多民族国家。現在、政府は映画検閲委員会(LFP)の権限を拡大し、国内のガイドラインを親イスラムに傾けることを提案しており、映画制作者らは、それに伴い逮捕者や刑事捜査が増えることを懸念しているという。
LFPの新しい宗教ガイドラインのセクションでは、「反神 (信仰)、無神論、不可知論、サイエントロジー、宗教多元主義、自由主義、冒涜、狂信的信仰の支持、あらゆる宗教の批判、糾弾、信用失墜を助長する教え」に触れる映画は、より厳しい監視の対象となるとされている。
マレーシア映画では、イスラム教徒の少女が他の信仰を探求する姿を描いた映画『Mentega Terbang(原題)』の監督・プロデューサーが、イスラム教を信仰する人々の感情を傷つけたとして起訴された。また、少女の成長を描く映画『タイガー・ストライプス』のオリジナルバージョンは、好ましくないとされるシーンが検閲で削除されたという。