現地時間5月18日(土)、フランスで開催中の第77回カンヌ国際映画祭で爆弾騒ぎがあり、会場となるパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(以下パレ)周辺が一時的に封鎖された。
Varietyによると、18日の午後にパレの正面に位置するクロワゼット通りの路上で不審物が発見され、警察が通りの一部を封鎖。歩行者の通行が制され、横断歩道の中心でバックパックを調査している専門部隊が目撃されたが、爆発物などではないことが判明した。封鎖されたクロワゼット通りは、15時過ぎには開放されたと報じられている。
騒ぎは、ヨランド・ゾーベルマン監督による『The Belle From Gaza(原題)』の上映直後に発生。この映画は、パレスチナのガザからイスラエルのテルアビブへ渡り、自身のアイデンティティに忠実に生きようとするトランスジェンダーのパレスチナ人が描かれる作品で、物議を醸す可能性のある内容に加え、イスラエルとパレスチナの現状を踏まえ、不審物によるテロの可能性が懸念されたようだ。その他にパレでは、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の『Army of Shadows(原題)』やハルフダン・ウルマン・トンデル監督の『Armand(原題)』、ジャ・ジャンクー監督の『Caught by the Tides(原題)』、クロード・バラス監督の『Savages(原題)』も上映中だった。会場を警備していたスタッフによると、どの劇場も観客が避難するには至らなかったとのこと。
また、この騒動が起こる前から、パレではテロに対する警備が強化されており、来場者は手荷物検査を受けて金属探知機を通過しなければならない。そのため長打の列ができてしまい、Screen Dailyによると、来場者が会議やパネルに遅刻したりするなどの事態に追い込まれていたという。オランダの製作・配給会社に勤務する男性は、参加するはずだったパネル・ディスカッションに15分遅刻し、ソウルを拠点とするロッテ・エンターテインメントの国際マーケティング&流通マネージャーは、遅延のせいで多くの会議を短縮しなければならなかったと語っている。
そこで主催者は、アルベール・エドゥアール通りに会場へのファストトラック・ラインを追加し、主要エントランスと地中海側からアクセスできる既存の入場ルートを2倍に増加。来場者の入場が滞りなく進むよう、対策に努めている。
第77回カンヌ国際映画祭は、5月25日(土)まで開催される。
※【修正】5月21日17時:ヨランド・ゾーベルマン監督をイスラエル人監督と記載していた点に誤りがありましたので、記事本文を修正いたしました。