K2 Picturesが日本発の映画製作ファンドを本格始動 岩井俊二、是枝裕和らクリエイターも発表

今回立ち上げられた日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ」では、新たな国内外投資家の日本映画産業への参入、クリエイターへの利益還元を推し進めていく予定。岩井俊二、是枝裕和、白石和彌、西川美和、MAPPA、三池崇史ら豪華クリエイターがK2 Picturesとともに世界市場を目指した映画製作を進めていく。

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K2 Picturesが日本発の映画製作ファンドを本格始動 岩井俊二、是枝裕和らクリエイターも発表
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映画、映像を中心とした事業を展開するK2 Picturesは、日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ(読み:ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)」を立ち上げることと、ビジョンに賛同した監督およびアニメーション会社を発表した。

K2 Picturesは“日本映画の新しい生態系をつくる”ことを目標として掲げ、投資家・クリエイターと新たな日本映画製作の形から、世界基準の映画を届けることを目指している。


今回立ち上げられた日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ」では、新たな国内外投資家の日本映画産業への参入、クリエイターへの利益還元を推し進めていく。本年の米国アカデミー賞で『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞し、配信業界でもNetfilx「忍びの家」、Disney+「SHOGUN」など日本文化を描いた作品の人気が高まっている。アニメやマンガなども世界での人気は右肩上がりとなっており、コンテンツは国内産業の中でもトップクラスの一大産業に発展しているが、まだまだ日本の映画製作においてその生態系は長らく変わっていない。その一つに海外法人や国内においても新しい投資家が参入しにくい現状がある。

そこで、現状の日本の映画製作における新たな選択肢として、日本コンテンツに興味がありながら接点を持てなかった国内外の会社が参加しやすいように、日本屈指の法律事務所である西村あさひ法律事務所・外国法共同事業でスポーツ・エンタメ領域を専門とする稲垣弘則弁護士とファンド領域を専門とする本柳祐介弁護士、エンタメ領域を得意とする会計事務所・ビズアドバイザーズとともに、海外からの投資を想定した法律・会計基準をもつ、このファンドを練り上げたとのことだ。さらに同ファンドでは、多くの才能が映画産業に夢を持ち続けられる体制を整えるため、クリエイターや制作に関わるスタッフに対する利益還元の仕組みも取り入れられる。

そしてこのファンド組成について詳細を発表すべく、世界中の映画業界の関係者が多く集まるカンヌ国際映画祭の会期中に記者会見が行われるという。

また、この取り組みに賛同した監督および会社も発表。日本のみならず、特にアジアでの人気が高く、欧米、中国での映画製作の場を広げている岩井俊二氏、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭・パルムドールを受賞し、本年のカンヌでは審査員を務める是枝裕和氏、毎年のように新作を発表し、最新作『碁盤斬り』は先日イタリアで開催されたウディネ・ファーイースト映画祭で批評家により選出されるブラッグ・ドラゴン賞を受賞した白石和彌氏、監督2作目の『ゆれる』がカンヌ国際映画祭の監督週間で正式出品され、その後もオリジナル作品を中心に精力的に作品制作を続けている西川美和氏、「呪術廻戦」「チェンソーマン」など海外でも人気の高いアニメーション制作を行うMAPPA、その新作は常に海外からも注目され、カンヌ国際映画祭をはじめ幾度となく様々な映画祭に招待されている三池崇史氏などが名を連ねた。クリエイターからのコメントも到着している。

クリエイターコメント(五十音順)

岩井俊二
紀伊宗之のやりたいことなら絶対に応援したい。それがこのプロジェクトに参加した僕の純粋なる動機だ。
プロデューサーとしての彼は無類に頼もしい。彼にかかったら開かない鍵なんかないかのようだ。
彼とする仕事は無類に楽しい。それは彼に人を信じる力があるからだと思う。いつの時代も破天荒な発明家が時代を塗り替えて行く。今回、彼は僕らのために新しい乗り物を作ってくれた。K2 Pictures。
それは自動車のようでもあり、船のようでもある。飛行機にも潜水艦にもなり得る。
山に登ればそれはピッケルとアイゼンに変身してくれる。
そんな変幻自在、臨機応変なしなやかさがK2 Picturesの持ち味になることだろう。
そんなチームだったらフィルムメーカーだって本気で頑張れる。
僕も思いつく限りのアイディアを投じてこの恩に報いたい。
どんな冒険が僕らを待ち受けているだろう。
10年後、どんなチームに成長しているだろう。
とにかく今から何もかもが待ち遠しくて仕方がない。

是枝裕和
30年映画を作って来て感じていた既成の作り方への疑問や、違和感をどうしたら改善出来るか模索している途上で、紀伊さんたちの取り組みに出会いました。このチャレンジが成功して、映画界に良い風が吹き、新しい才能にチャンスが開かれる。そんな未来を実現しようとしている心意気に共感して、仲間に加えて頂きました。
共闘を楽しみにしています。

白石和彌
K2 Picturesの勇気ある船出に心から拍手を送ります。日本の映画界に革命を起こし、見えない壁を壊して下さい。今までの日本映画では実現不可能だった企画や、突出したユニークな才能が生まれることを期待しています。私も並走して世界を驚かせる映画を作りたい。よろしくお願いします。

西川美和
日本の映画の世界でキャリアを重ねながら抱くようになったのは、なぜか自信や希望よりも行き止まりのロープにつんのめるような感覚でした。これ以上映画を撮るのはなんとなく怖いような気がしていました。
それで「映画」から背を向けるように、従来の映画会社や出資者が決して歓迎しないような話を書いていたんです。すると紀伊さんという人が立ち上げたK2 Picturesが新しい投資で資金繰りしてそれを映画にする、と言ってくれた。本気だろうか、と思いました。
しかも若い作り手の独創的な企画にもチャンスの扉を開いているという。安全牌で固める発想ではなく、新しい人やきわどいものに必要十分な資金と環境で機会を作ることを目指すK2 Picturesの挑戦には乗ってみる価値があると思いました。
ある意味、K2 Picturesのファンドや新しい配給の仕組みは、危険な冒険にも思えます。実際、一筋縄ではいかないこともあるでしょう。でもそれが映画作りだし、どうせ映画を作るなら私は冒険をするチームと組みたい。それがこれから先に日本で映画を作っていく人たちの、新しい活路になっていく可能性があるならば尚更です。

三池崇史
『K2 Pictures』。そして紀伊という怪しげな男について
紀伊=誠実な破壊者。
私はこう見ている。とてもパワフルだ。そして、そのエネルギーの源は、優しさだと思っている。
「もっと面白い映画を創って、もっと幸せになろうよ」
紀伊さんの笑顔に、そんなシンプルなメッセージを感じる。
だから私は『K2 Pictures』を信じている。

《Branc編集部》

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