中国アリババ、香港の映画・TV業界の開発に1,000億円近くを出資

アリババが投入する資金は、映画やTVドラマの制作、香港の新進アーティストの育成などに使用される予定。

グローバル アジア
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Photo by Michael M. Santiago/Getty Images Alibaba Group

3月11日(月)、中国の巨大複合企業であるアリババ・デジタル・メディア・アンド・エンターテイメント・グループ(ADME)が、香港のエンターテイメント産業に6億4,000万ドル(約965億円)を投じる計画を明かした。

The Hollywood Reporterによると、Hong Kong Cultural and Art Industry Revitalization Program(香港文化・芸術業界活性化プログラム)と呼ばれる計画は、毎年、アジアのコンテンツ業界向けに香港で開催されるコンテンツ・マーケットプレイス「Flimart」の初日に発表された。

このプログラムは、映画制作と配給、権利獲得やTVシリーズの制作、コンサートへの投資や公演会場との連携、タレント育成などに重点を置く予定だ。同プログラムにより、アリババはEdko FilmsやMedia Asia Group、Emperor Motion Picturesといった香港の映画制作会社と協業することになる。

Flimartに出席した香港政府の文化・スポーツ・観光部門を担当するケヴィン・ヨン長官は、「アリババのデジタルメディア部門が、香港を第2の本社とすることにも期待している」と発言。「我々は、ADMEグループが香港の映画・TV業界とさらに密接に連携し、新たな協力関係を築いてビジネス分野を開拓しつつ、新たな才能の育成、映画・TV向けの豊かで多様なコンテンツを創造することで、香港の映画・TV・エンターテイメント業界の発展を次のレベルに引き上げることを期待しています」と述べた。

Varietyによると、アリババは、香港で史上最高の興行収入を叩き出した2023年公開の法廷映画『毒舌弁護人~正義への戦い~』に出資し、すでに映画界で実績を出している。アリババ・ピクチャーズが出資する香港の長編映画プロジェクトには、 One Cool Film制作による『The Last Dance(原題)』や『The Trier of Fact(原題)』、『無間一戦』の続編などがある。

その他に発表された取り組みのなかには、アリババ・ピクチャーズを通じて、香港バプテスト大学の映画アカデミーで学ぶ地元の映画制作者20名に教育資金を提供する計画も含まれている。同プログラムは、エンターテイメント業界の発展を、近年の振興・経済政策の中心に据えている香港政府に歓迎されているという。

アリババ・ピクチャーズの Jie Li社長は、「都市文化に根ざし、東洋の美学と国際的な視点を融合させた映画制作者が、世界の映画市場で我が社独特の競争意識を維持する鍵となるでしょう」とコメント。アリババ傘下ビデオ・オン・デマンド・プラットフォームYoukuのYing Xie副社長は、「我々は新世代の香港俳優と、香港のより多くのクリエイティブな才能が中国本土で活躍できるようサポートし、若き才能に大きな機会を提供すると同時に、香港独自のポップカルチャーを保護して継続していきたいと思っています」と意気込みを語った。

香港映画業界は依然として、パンデミック前の興行収入レベルに戻れない状態が続いており、ADMEの巨額投資でエンターテイメント業界が活気を取り戻せるかどうかが注目されている。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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