JFPによる映画・アニメ・演劇の現場における「ジェンダー調査」が発表。契約レッスンの実施も決定

どの業界も、アシスタント層では女性の割合が多くみられるものの、意志決定層になると男性中心的で女性の比率が非常に低いことが明らかに。

働き方 調査・統計
JFPによる映画・アニメ・演劇の現場における「ジェンダー調査」が発表。契約レッスンの実施も決定
  • JFPによる映画・アニメ・演劇の現場における「ジェンダー調査」が発表。契約レッスンの実施も決定
  • 「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における ジェンダー調査2023」(実写邦画・アニメ映画編)
  • 「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における ジェンダー調査2023」(実写邦画・アニメ映画編)
  • 「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における ジェンダー調査2023」(実写邦画・アニメ映画編)
  • 「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における ジェンダー調査2023」(実写邦画・アニメ映画編)
  • 「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における ジェンダー調査2023」(実写邦画・アニメ映画編)
  • 「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における ジェンダー調査2023」(実写邦画・アニメ映画編)
  • 「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における ジェンダー調査2023」(実写邦画・アニメ映画編)

日本映画業界におけるジェンダー格差や労働環境の改善に向けて調査を行っている一般社団法人Japanese Film Project(JFP)が、「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場におけるジェンダー調査」を発表。さらに、「映画スタッフに向けた契約レッスン」を開始することも明らかにした。

ジェンダー調査結果

JFPは、これまでジェンダー調査に関して「実写映画」を調査対象としていたが、今回は調査範囲を広げ、日本映画製作者連盟が毎年発表する「興収10億円以上の実写邦画」における「日本映画業界の制作現場におけるジェンダー格差調査2023冬 実写邦画・アニメ映画編」を実施。これまでの調査では映画年鑑に掲載されている「意思決定層の役職」のみを数えていたが、新たに「アシスタント職」のジェンダー比率もエンドロールを基に調査が行われた。


演劇分野についての調査では、演劇年鑑2023をもとに、2022年に劇場で公開された演劇作品の演出・制作・照明・プロデュース領域(製作&企画&プロデュース)における男女比がまとめられている。

主な項目は下記の通り。

  • アシスタント職と意思決定職のジェンダー格差調査(実写邦画・アニメ映画・演劇)

  • 興行収入10億円以上のアニメ映画における調査

  • 演劇年鑑をもとに、演劇領域におけるジェンダー格差調査

  • 全国の劇場や音楽堂等における役員のジェンダーギャップ調査

全体の結果として、意思決定層とアシスタント職間でのジェンダー格差や、労働環境におけるインクルージョンなどの課題が明らかになった。レポートでは調査結果を基にした有識者の見解も寄稿されている。

実写邦画における意思決定層(監督・撮影・録音・照明・編集・美術)では女性比率が低く、それに対し、それらのアシスタント(助監督・監督助手・撮影助手・録音助手・照明助手・編集助手・美術助手)においては女性比率が高い結果となった。また、アニメ映画に関しても、意思決定層(監督・演出・作画監督・美術監督・脚本・音楽監督・キャラクターデザイン・撮影監督)と、それらのアシスタント(アニメーター・制作進行・美術・背景美術など)において、ジェンダー格差が存在した。

演劇においても意思決定層(プロデュース領域・演出)と、制作においてジェンダー格差が存在。一方で演劇業界については、演劇年鑑に記載されたスタッフ情報そのものが少なく、関係者が把握しづらい、スタッフ情報の記載が漏れると作品参加した履歴が残らないなど、調査の課題も見えてきた。

これらの調査結果から、いずれの業界もアシスタント層では女性の割合が多くみられるものの、意志決定層になると男性中心的で女性の比率が非常に低いことが分かった。このようなジェンダー格差を解消していくには環境整備が重要だという。意識の問題だけでなく、働く場所や労働時間などの構造(=労働環境)を整備しなければジェンダー格差は埋まらないと、相模女子大学大学院特任教授の白河氏は指摘している。

文化庁委託事業「映画スタッフに向けた契約レッスン」

ジェンダー格差やハラスメントの問題を解決に近づけるために、業務内容など業界構造に直接的にかかわる事項を契約書で明示して、議論する必要がある。そこで、JFPは来年秋に施行されるフリーランス新法に付随して、文化庁委託事業として「映画スタッフに向けた契約レッスン」を実施することを発表。映画スタッフ向けに契約に関するレッスンが行われる。

映画・演劇業界にはフリーランススタッフが多いが、フリーランスは企業が提案する契約書に対して意見を主張することが難しく、納得できない条項があっても交渉するためのノウハウが少ない。

そのような課題を補うため、文化庁が公表した「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」をもとに、契約に関する知識をアップデートするための様々なコンテンツが準備されている。2月には複数都市で映画関係者も多数参加する対面研修会の実施が予定されているとのことだ。

調査詳細

詳しい研究結果はこちら:https://jfproject.org/research/

「日本映画業界の制作現場におけるジェンダー格差調査2023冬 実写邦画・アニメ映画編」

<実写邦画>
・「意思決定役職」と「アシスタントスタッフ」のジェンダー比率調査(興行収入10億円以上の作品が対象)
・「制作」と「プロデュース領域」のジェンダー比率の比較(2022年の劇場公開作品)
・「監督・撮影・照明・録音・編集・脚本・美術」のジェンダー比率 (2022年の劇場公開作品)

<アニメ映画>
・「意思決定役職」と「アシスタントスタッフ」のジェンダー比率調査(興行収入10億円以上の作品が対象)

<有識者による寄稿文>
白河桃子 相模女子大学大学院特任教授
須川亜紀子 横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授


「日本演劇領域におけるジェンダー格差調査 2023冬」

<調査内容>
・2022年4役職におけるジェンダー比率(演出・照明・制作・製作&企画プロデュース)
・劇場規模や経営形態ごとの比率
・公立文化施設におけるジェンダー格差調査(公文協の調査引用)
・全国の文化拠点における役員のジェンダーギャップ

<有識者による寄稿文>
塚口麻里子 舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事長兼事務局長
西山葉子 フリーランス、舞台芸術制作者、文化政策研究者
植松侑子 NPO 法人Explat 理事長、合同会社syuz’ gen 代表社員

文化庁委託事業「映画スタッフのための契約レッスン」概要

①対面研修会「ゼロから始める、契約書の読み方講座~映画スタッフ編~」

「契約書ひな型」や「解説冊子」も無料配布し、それらをもとに分かりやすく解説
講師:長澤哲也(弁護士・弁護士法人大江橋法律事務所 パートナー弁護士)
参加無料

②契約書ひな型・解説冊子・動画

1月下旬以降、特設ホームページにて順次無料公開

③オンライン講座 映画スタッフの契約事情~韓国映画界の事例紹介~

韓国の映画現場で使われる「標準契約書」の日本語訳資料を紹介しつつ、日韓で活躍する映画関係者を交え、日本映画界がどう変わっていけば良いか考える
登壇者:呉美保(映画監督)、藤本信介(助監督)、成川彩(韓国在住文化系ライター・司会)、大塚大輔(JFP韓国調査員・翻訳等担当)
申し込み先:https://jfp-contract24-00.peatix.com


特設ホームページ:https://jfproject.org/contract
主催:文化庁(令和5年度「芸術家等実務研修会」)
事務局・企画・運営:一般社団法人Japanese Film Project
協力:(協)日本映画監督協会、(協)日本映画撮影監督協会、(協)日本映画・テレビ照明協会、(協)日本映画・テレビ録音協会、(協)日本映画・テレビ美術監督協会、(協)日本映画・テレビ編集協会、(協)日本映画・テレビスクリプター協会、(協)日本シナリオ作家協会、日本映画大学

《Branc編集部》

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