働き方を変えるDXサービスを提供するSansanは、IP(知的財産)を活用したビジネスに携わる610名のビジネスパーソンを対象に「IPビジネスの契約実態調査」を実施し、調査結果を発表した。
高成長が期待されているIPビジネスでは、許諾に関する契約の取り交わしや期限管理が重要となる。契約DXサービス「Contract One」を提供する同社では、 IPビジネスにおける契約業務の課題を明らかにすべく調査を実施。調査の結果、IPビジネスに携わるビジネスパーソンの7割以上が「契約違反によるトラブル」を経験したことがあり、「契約書を結んでいないことによるトラブル」も6割以上が経験したことがあると回答した。
また、超過金や追加作業にともなう費用などで最大1億円かかった事例やプロジェクトが700日も遅延した事例が存在し、IPビジネスの契約業務において企業活動に大きな影響を及ぼすリスクが存在することが明らかになった。
調査結果
■7割以上が使用範囲の違反や期限超過などの「契約違反によるトラブル」を経験し、「契約書を結んでいないことによるトラブル」も6割以上が経験。
契約トラブルについて聞いたところ、73.4%が「契約違反によるトラブル」、62.5%が「契約書を結んでいないことによるトラブル」を経験したことがあると回答。内容は、使用範囲の違反や期限超過、キャラクターの無断使用などが挙げられ、IPビジネスにおいて契約トラブルが多く発生している実態が明らかになった。
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■トラブルによる影響は「プロジェクトの進捗遅れ」「内容変更」「追加費用の発生」が上位。超過金や追加作業にともなう費用など最大で1億円かかった事例も。
トラブルを経験したことがあると回答した人に、その影響について聞いたところ、「ビジネス展開やプロジェクトの進捗が遅れた」が39.8%、「IP・ライセンスの利用条件を変更した、もしくは希望の条件で使えなくなった」が37.0%、「追加費用が発生した」が33.0%となった。進捗遅れが発生した場合の日数を聞いたところ、最大700日、平均37.1日となり、追加費用については最大1億円、平均373.4万円となった。IPビジネスにおいて契約関連のトラブルが発生した場合、企業全体への影響も大きいことが明らかになった。
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■「契約を結ばない案件がある」と回答した人は5割以上。理由は「契約締結が必要なケースが整理されていないから」「案件の金額が小さいから」など。
案件ごとに契約書を結んでいるか聞いたところ、結ばない場合があると回答した人が50.9%に上り、その理由として「契約書の締結が必要なケースが整理されていないから」や「案件の金額が小さいから」との回答が上位になった。契約業務が軽視されている案件が多く、業務フローが整備されていない実態が分かった。
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また調査結果について、Sansanの西村氏がコメントを発表した。
Sansan株式会社 Contract One Unitゼネラルマネジャー 西村仁氏 コメント
今回の調査では、IPビジネスでは契約トラブルがつきものであることが判明し、企業の経営に大きな影響を及ぼすトラブルを経験している人も多いことが分かりました。一方で、未だに契約を締結しない案件も多く、契約業務が軽視されている実態も明らかになりました。
国内外で人気が高い日本のコンテンツを活用したIPビジネスは、今後ますます拡大することが予想されています。市場が拡大するに伴い契約件数が増加し、海外との取引など複雑な案件も増えていくと考えられます。契約業務を疎かにしたことでトラブルが発生すると、コンテンツそのもののイメージを棄損することにもつながりかねません。IPビジネスに従事する企業にとって、ビジネスチャンスを捉えながらも契約業務を疎かにすることなくフローを整え、リスクを適切に管理することが求められています。
当社では、契約業務を法務部門に限定せず企業全体で管理・活用することで、リスク管理にとどまらず商談における交渉力を強化するサービスを提供しています。契約業務に不慣れな現場の担当者であっても、契約内容を素早く簡単に把握し活用できる機能開発をすすめ、IPビジネスを後押ししていきます。
調査概要
調査名:IPビジネスの契約実態調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査対象: IPビジネスに携わるビジネスパーソン610名
調査期間:2023年7月14日~2023年7月19日
調査企画:Sansan株式会社
補 足:本調査結果において、比率は小数点以下第2位を四捨五入しているため、必ずしも合計した数字が100%にならない場合があります。