アカデミー、2025年の授賞式から作品賞候補の劇場拡大を義務化

アカデミーは、あらゆる規模の配給会社に対し、広範囲かつ長期の劇場公開を求める動きとして、作品賞候補作の劇場拡大を義務化する。

グローバル アワード

アカデミーは配給会社に対し、広範囲かつ長期の劇場公開を求める動きとして、作品賞候補作の劇場拡大を義務化する。

Screen Dailyによると、2024年に公開される作品を表彰する第97回アカデミー賞から始まる新たな要件は、対象となる6つの米国市場のいずれかで最初の1週間の劇場公開が行われた後、特定の劇場公開基準を満たさなければならないという。作品賞のノミネート資格については以下が基準となる。

  • 2024年の初公開から45日以内に、全米上位50市場のうち10市場において、連続または非連続で7日間の劇場公開を拡大

  • 2025年1月10日以降に拡大公開される年末公開作品については、配給会社は検証のために公開計画をアカデミーに提出する必要がある

  • 年末公開作品の公開計画には2025年1月24日までに完了する拡大劇場公開計画が含まれていなければならない

  • 米国以外の市場での公開は、10市場のうち2市場にカウントされる場合がある

  • 対象となる米国以外の市場には、上位15位の国際的な劇場市場に加え、その映画の本国が含まれる

この新しい要件は、アカデミーがあらゆる規模の配給会社と話し合った結果であり、劇場の活気が映画業界には不可欠であるというアカデミーの信念と一致しているという。しかし、小規模の配給会社にとっては、この拡大要件は難しいとも考えられている。そのため、アカデミーは配給会社に2024年の公開を計画する時間を与えるために、今週この要件を発表した。

このルール変更は劇場公開の長さに関するものではないが、ストリーミング配信事業者の劇場公開にどのような影響を与えるかは未知数だ。Amazonは『AIR/エア』で30日間の独占劇場上映を果たし、プライム・ビデオでの配信前に3,500以上のスクリーンで上映した。また、Appleは今後マーティン・スコセッシ監督とリドリー・スコット監督の大作『Killers Of The Flower Moon(原題)』(パラマウントと共同製作)と『Napoleon(原題)』(ソニーと共同製作)で45日間の独占公開を計画しているという。

一方で、Netflixは昨年、ライアン・ジョンソン監督の『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』を独占配信前に1週間劇場公開しており、必ずしも長期間の劇場公開を行うとは限らない。リード・ヘイスティングス会長は、長期の劇場公開を見送ることはNetflix加入者へのサービスとしてのプロモーション戦術であり、Netflixは劇場ビジネスを構築する計画はないと説明した。

この規則は、オスカーのノミネートが発表されるまで限定公開を控えていた国際公開にも影響する。不明確なのは、資金力に乏しい小規模配給会社が、劇場公開を拡大する余裕をどのように持つかということである。また、どのように上位15の国際的な劇場市場が定義されているかも不明であった。スクリーンは、アカデミーの市場ランキングの変動に合わせて適応していくと予想されている。

Another Source:The Playlist
《伊藤万弥乃》

関連タグ

伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。