アヌシー国際アニメーション映画祭、『夏へのトンネル、さよならの出口』がポール・グリモー賞を受賞

6月11日から17日まで行われていたアヌシー国際アニメーション映画祭が終了し、日本の長編アニメーション作品『夏へのトンネル、さよならの出口』が新設のポール・グリモー賞を受賞した。

グローバル マーケット&映画祭
Prix Paul Grimault (Mention du jury) long métrage/Paul Grimault Award for a Feature Film : The Tunnel to Summer, The Exit of Goodbyes
CLAP Prix Paul Grimault (Mention du jury) long métrage/Paul Grimault Award for a Feature Film : The Tunnel to Summer, The Exit of Goodbyes
  • Prix Paul Grimault (Mention du jury) long métrage/Paul Grimault Award for a Feature Film : The Tunnel to Summer, The Exit of Goodbyes
  • Prix Paul Grimault (Mention du jury) long métrage/Paul Grimault Award for a Feature Film : The Tunnel to Summer, the Exit of Goodbyes
  • Cristal du long métrage/Cristal for a Feature Film; Prix Fondation Gan à la Diffusion/Gan Foundation Award for Distribution : Linda veut du poulet !

『夏へのトンネル、さよならの出口』/CLAP

6月11日から17日まで行われていたアヌシー国際アニメーション映画祭が閉幕し、日本のアニメーション作品『夏へのトンネル、さよならの出口』が新設のポール・グリモー賞を受賞した。

Screen Dailyによると、今年の映画祭には7日間で過去最高の15,820人の観客が来場し、2022年から19%増となったとのこと。映画祭開幕の3日前に町で起きたナイフ襲撃事件後も上映は通常通り行われ、IlluminationのCEOクリス・メレダンドリ氏をはじめとするゲストがアヌシーの人々に思いを寄せた。

そして、今回映画祭の最優秀賞であるクリスタル賞(長編)とGan Foundation賞(配給)を受賞し二冠を達成したのは、キアラ・マルタ監督とセバスチャン・ローデンバッハ監督の手描き作品『Chicken for Linda!(英題)』。この作品は、哀悼と憂鬱の中にユーモアを見出すほろ苦い子ども時代の物語で、先月カンヌのACIDサイドバーでプレミア上映され、高い評価を受けた。共同監督のキアラ・マルタ監督は「私たちは、笑いと感動を同時に味わえるものを求めていました」「この2つの要素は決して対立するものではありませんでした。なぜなら、私たちは子どもたちのために映画を作り、彼らの言葉を取り入れながら、彼らの視点に立つことができたからです」とコメントしている。

『Chicken for Linda!(英題)』

ハンガリーのアロン・ゴーダー監督は、2Dと3Dアニメーションを駆使して、ネイティブアメリカンの創造神話をエコロジーの良心を持った壮大な冒険として捉え直した『Four Souls of Coyote』で審査員賞を受賞。ゴーダー監督は、コメディ『The District!』で2005年にクリスタル賞を受賞している。

また、メインコンペティションの最後を飾った田口智久監督の『夏へのトンネル、さよならの出口』は、特別賞にあたるポール・グリモー賞を受賞した。コンペティション「Contrechamp」では、スペインのパブロ・べーガー監督の『Robot Dreams』が最優秀賞を獲得。1980年代のニューヨークを舞台に、ロボットと犬の友情を描いたほろ苦い2Dの物語で、話し言葉を一切使わず、つま先立ちのニードルドロップとサイレントコメディのギャグで構成されている。

そのほか、フィリプ・ポシヴァッチ監督の『Tony, Shelly and the Magic Light』がコントルシャン審査員賞を、ブノワ・チエウ監督の『Sirocco and the Kingdom of Air Streams』が映画祭オープニング作品として観客賞を獲得。マルジョレーヌ・ペレテン監督は、洪水で高台に移動するトガリネズミの家族を静かなコメディタッチで追った29分の短編『Pebble Hill』でTV部門のクリスタル賞を受賞した。

受賞結果

※海外作品は英題で記載

長編部門

クリスタル賞(グランプリ)
『Chicken for Linda!』 キアラ・マルタ、セバスチャン・ローデンバッハ(フランス、イタリア)

審査員賞
『Four Souls of Coyote』アロン・ゴーダー(ハンガリー)

ポール・グリモー賞
『夏へのトンネル、さよならの出口』田口智久(日本)

Gan Foundation賞
『Chicken for Linda!』キアラ・マルタ、セバスチャン・ローデンバッハ(フランス、イタリア)

Contrechampグランプリ
『Robot Dreams』パブロ・べーガー(スペイン、フランス)

Contrechamp審査員賞
『Tony, Shelly and the Magic Light』フィリプ・ポシヴァッチ(ハンガリー、チェコ、スロヴァキア)

観客賞
『Sirocco and the Kingdom of Air Streams』ブノワ・チエウ(ベルギー、フランス)

短編部門

クリスタル賞(グランプリ)
『27』 フローラ・アンナ・ブダ(フランス、ハンガリー)

審査員賞
『Drijf』リヴァイ・ストゥープス(ベルギー)

アレクセイエフ-パーカー賞
『Eeva』モーテン・チナコフ、ルシア・ムルジャック(クロアチア)

ジャン=リュック・キシベラス賞
『Our Uniform』イェガネ・モガッダム(イラン)

オフリミット賞
『Is Heaven Blue? #2』 メンノ・デ・ヌイエ、ポール・デ・ヌイエ(ノルウェー、オランダ)

観客賞
『Nun or Never!』ヘタ・ヤリノヤ(フィンランド)

TV&Webシリーズ部門

クリスタル賞(グランプリ)
『Pebble Hill』マルジョレーヌ・ペレテン(ベルギー、フランス、スイス)

審査員賞1位
Shape Island 『Square’s Big Prank』ドリュー・ホッジス(アメリカ)

審査員賞2位
Scavengers Reign 『The Wall』ヴィンセント・ツイ(アメリカ)

コマーシャル部門

クリスタル賞(グランプリ)
November Ultra 『Come Into My Arms』タメルラン・ベクムルザエフ(フランス)

審査員賞
The Beatles 『I’m Only Sleeping』エム・クーパー(イギリス)

卒業制作部門

クリスタル賞(グランプリ)
『La notte』マルティナ・ジェネラリ、シモーネ・プラトーラ、フランチェスカ・ロッソ(イタリア)

審査員賞
『Harbourmaster』ミア・L・ヘンリクセン、コンラッド・ヒェムリ(ノルウェー)

ロッテ・ライニガー賞
『Mano』トーケ・マドセン(デンマーク)

VR部門

クリスタル賞(グランプリ)
『Red Tail』フィッシュ・ワン(台湾)

Another Source:Variety
《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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