ヨーロッパの劇場専用配給会社POM、アニメ部門を立ち上げ『THE FIRST SLAM DUNK』を35の地域で配給

ヨーロッパを拠点とする劇場専用配給会社Piece of Magic Entertainment(POM)は、POMアニメを立ち上げ、その第一弾タイトルとして『THE FIRST SLAM DUNK』を獲得した。

グローバル ヨーロッパ
ヨーロッパの劇場専用配給会社POM、アニメ部門を立ち上げ『THE FIRST SLAM DUNK』を35の地域で配給
ヨーロッパの劇場専用配給会社POM、アニメ部門を立ち上げ『THE FIRST SLAM DUNK』を35の地域で配給

PIECE of MAGIC ホームページより

ヨーロッパを拠点とする配給会社Piece of Magic Entertainment(POM)は、子会社「POMアニメ」を立ち上げアニメーション映画の配給を本格化することを発表。その第一弾タイトルとして『THE FIRST SLAM DUNK』を獲得した。

Screen Dailyによると、既存の16人のPOMチームによって運営され、オランダのアムステルダムに拠点を置いているPOMアニメは、『THE FIRST SLAM DUNK』を35の地域で配給し、スカンジナビア、ポーランド、バルト地域、ギリシャ、中央ヨーロッパ地域で2023年夏の後半に公開する予定とのことだ。本作は、現在までにアジア市場だけで2億6千万ドル(約366億円)以上の興行収入を記録しており、アニメーション映画としては歴代5位の興行収入を記録している。そして本作は今年のアヌシー国際アニメーション映画祭でも上映されている。

POMアニメのCEO兼創設者のキャスパー・ナダウド氏は、年間4~6本の長編アニメ映画の公開を目指すと述べている。さらに、近年『劇場版 呪術廻戦 0』や『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』などの世界的なヒットアニメ映画の配給を手がけてきたナダウド氏は、今こそ別会社を設立する時だと話す。「第一に、ライセンサーに対して、私たちがこのトレンドを真剣に受け止めていること、そして劇場公開されるタイトルのホームがあることを示すことができます」「第二に、より長期的な目標として、ファンが自分の地域でお気に入りのアニメの劇場上映を見つけることができる、より大きなハブとなることです」と述べている。

また、ナダウド氏はPOMが劇場公開のみのディストリビューターであることは、アニメの分野でもメリットがあるとも指摘する。「日本のプロデューサーやスタジオは、劇場公開を非常に重要視しています。特に新しい市場では、大きなスクリーンで何かを公開することは、コンテンツのライフサイクルの中で最も重要なことです。私たちは、中央ヨーロッパ、ギリシャなど、新しい市場にも積極的に参入しています。これらの市場のほとんどは、長い間アニメのリリースがありませんでしたが、私たちはそれを育てています」と話し、アニメ用語は専門性が高いため、それぞれの地域で適切な翻訳者を見つけることなど、コンテンツをローカライズすることも重要だと述べている。

そして、POMアニメの「第一層」の視聴者は、「以前からこのコンテンツに注目している本物のアニメファン」だとも語っている。「ディストリビューターとしての私たちの仕事は、この層を広げること、そしてこのトレンドを知り、興味を持った観客を増やすことです。今回、『THE FIRST SLAM DUNK』を公開するクロアチアやギリシャは、バスケットボール大国です。また、アヌシーで上映されるということで、映画ファンも興味を示してくれるかもしれません」と述べている。

Piece of Magic ニュースリリース
《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。