全米脚本家組合は、スタジオやストリーマーと共に、進化するテクノロジーに対する業界のアプローチについて話し合っている。
The Hollywood Reporterによると、同組合は今回の交渉において、AIで書かれた作品やAIでリライトされた作品を契約の対象外とすることや、AIによって作成された著作物が著者クレジットの対象となることを排除したいと考えているとのことだ。WGAが提示した提案の骨子は、AIがライターの報酬、クレジット、権利、労働基準を脅かさないようにするという点にある。 具体的には、「AIを原作として使用すること」「AIに脚本を書かせる、あるいは書き直させること」を禁止し、AIが生成したテキストは脚本クレジットの対象として一切考慮されないことを求めている。
興味深いのは、WGAによるAIの定義づけだ。組合側は声明で、スタジオがライターに対して「Wikipediaの記事やその他の調査資料」を渡して参照させることと同様に、AI生成物を「参照」させること自体は否定しない姿勢を見せた。 しかし、「すべての調査資料がそうであるように、AI生成物は組合が管轄する『作品』としての役割を持たず、知的財産の権利の連鎖(チェーン・オブ・タイトル)にも含まれない」と強調。AIをクリエイターと対等な存在ではなく、あくまでWikipediaと同列の「単なる資料」として扱うよう釘を刺した形だ。
WGAの姿勢は、AI技術の本質に対する懐疑的な見方に基づいている。声明では、「AIソフトウェアは何も創造しない。それは与えられたデータを反芻(regurgitation:飲み込んだものを吐き戻すこと)して生成しているに過ぎない」と断じた。
さらに、AIが著作権で保護されたコンテンツとパブリックドメインのコンテンツを区別できずに学習している現状を指摘。「AIの出力は著作権保護の対象にはならず、AIソフトが著作者証明書に署名することもできない」と法的な見解を示した上で、最後には以下の強い言葉で締めくくっている。
「それどころか、盗作(Plagiarism)こそが、AIプロセスの機能(Feature)なのだ」
通常、ソフトウェアの不具合は「バグ」と呼ばれるが、WGAはAIによる既存作品の模倣や流用をバグではなく、そもそも備わっている「機能・仕様(Feature)」であると皮肉り、強く警戒している。
現在、WGAと映画・テレビ製作者同盟(AMPTP)との間では、ストリーミング時代の報酬体系の見直しと共に、このAI技術の規制が交渉の主要な争点となっている。

