『アバター2』日本イベントでの「イルカショー」が問題視 作品が持つ環境保護のメッセージ性と相違

現在公開中の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の日本宣伝イベントに対し、海外から批判が向けられている。

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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
Photo by Alberto E. Rodriguez/Getty Images for 20th Century Studios アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

現在公開中の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の日本宣伝イベントに対し、海外から批判が向けられている。

先日行われた日本向けの『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』イベントとして、監督のジェームズ・キャメロン、俳優のゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、サム・ワーシントンが招待され、イルカショーが行われた。しかしこれに対し、多くの海洋哺乳類活動家から批判の声が上がっており、監督がもつ環境保護とのメッセージ性と矛盾するという指摘も上がっている。数百万ドルかけて作られたこのCGI映画は、自然界を賛美し、海洋生物についての認識を高めるものであるはずだった。

複数の海外メディアでは、「日本は、野生のイルカを捕獲し、イルカショーに売り出す活動を行う数少ない国の一つ」と報じられており、オスカーを受賞した『ザ・コーヴ』を引用して和歌山県太地町の入江を中心に何千頭ものイルカが屠殺されている現状が挙げられている。本イベントが行われたイルカパークは、新たに捕獲された野生のイルカを購入しないことに同意しているが、ショーに登場したイルカの出自は依然として不明とのことだ。

ドルフィン・プロジェクトの創設者で活動家のリック・オバリー氏は、本イベントのニュースが公になった後、キャメロン監督に公開書簡で「私が尊敬するこの特別な映画制作者たちが、小さなプールで芸をする捕らえられたイルカに拍手するのを見て、私は完全に動揺しました」と述べている。

キャメロン氏が書いたとされるEメールには、「その日、私は6つの訪問先のうち最初の訪問先として、水族館でのファンイベントを示すスケジュールを渡されました。私は、モントレーベイ水族館のような、科学と自然保護に関する素晴らしいプログラムをイメージしていた。しかし、イルカショーがあるという話は全く出てこなかった。イルカショーがあることを知ったのは、文字通り、ステージに出て行くときでした。私たちはすでに照明の中にいて、ファンたちは歓声をあげていたんです」とサプライズ演出であったことを明かし、「映画をご覧になれば、クジラを救うこと、そしてクジラを対等に扱い共感してもらうことがすべてであることがおわかりいただけるでしょう。それがこの映画の重要なメッセージです」「だから、捕獲されたイルカを題材にしたショーの前に立つことに同意することは、明らかにあり得ないことなんだ」と述べられていると豪Yahoo!Newsは報じた。

そして「実際、私はこの10年間、魚を食べるのをやめて、植物性タンパク質にこだわってきました。これは、私が予見も予防もできない失態であり、申し訳ないと思っていることをお伝えしたかったのです」と自身がヴィーガンであり、動物たちことを考えてきたことも述べている。

韓国メディアのハンギョレでは、9日にソウルで開かれた来韓記者会見で、キャメロン監督が「ダイバーであり探検家として数千時間を水の中で過ごしてきた。海が好きで、海が私たち人類にどんな意味を持つかをよく知っている」としたうえで、「イルカのような動物が無分別な捕獲で消えている。人類がもっと努力しなければならない」と話していたことも含め、本ニュースを報じている。
《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。