Z世代は「ゴシップガール」のような華やかな物語より、現実的で前向きになれる物語が好き?──UCLAの調査結果より

UCLAが「CSS Teens and Screens 2022, #Authenticity」と名付けた調査を実施。Z世代のティーンがエンタメコンテンツについて、どのような観点で見ているかを調査した。

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Image by Freepik
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UCLAのCenter for Scholars & Storytellersが全米の13歳から18歳のティーンエイジャー662人を対象に、「CSS Teens and Screens 2022, #Authenticity」と名付けた調査を実施。

この調査はZ世代のティーンがエンタメコンテンツについて、どのような観点で見ているかを調査したものである。

1.ティーンは野心的でキラキラした物語に否定的


「野心的で、理想の生活を描く物語がみたい」、というティーンはたった4.4%。

「テレビ番組や映画の中には現実逃避的で現実に忠実でないものもあれば、現実の生活を反映した現実の問題に対処するものもあります。 どの種類のテレビ番組や映画を見るのが一番好きですか?」という質問に対し、回答者はジェンダーや民族性、性的指向に問わず、華やかで理想的な物語(本調査を基に、IndieWireは「ゴシップガール」のような作品を例に挙げている。)に興味が薄いことが分かった。トップを占めたのは「楽しく見れて現実逃避できるような内容」(37.8%)「実生活や社会問題に紐づく内容」(21%)といった回答だ。

回答者からは、「気分にもよるけれど、私は現実生活で起こりうるアップダウンを描くもの、もしくは現実逃避できるようなばかばかしくて気楽にみられるコンテンツが好みです。(白人、17歳ノンバイナリー)」、「王道でなかったり、自営業のキャリアを持ちながら、自由に自分らしく生きている人など、普段見ているものとは違った文化や生き方をしている人々の物語がみたい。(MENA、15歳女性)」といったコメントも見られた。

2000年代初期の調査にて、青少年が消費する人気のあるテレビ番組の価値のトップには、「名声と経済的成功を描くストーリー」があがっており、今回の調査では、大きな変化があったことが分かる。

2.ティーンは、希望、自分とは違う生き方、家族、友情にまつわる物語を求めている。


「あなたが見ているテレビ番組や映画で、どのようなことを描いてほしいですか?」という質問に対し、「自分とは違う生き方を描く物語」、「希望と元気を与えてくれる物語」という回答がトップを占めた。次点には、「スーパーヒーローの物語」があがっていた。なかでも、LGBTQIA+の回答者は、「LGBTQ+のアイデンティティを描く物語」と「メンタルヘルスに関する物語」を多く選択していたことが分かった。

3.23.6%のティーンは黒人男性をヒーローとして起用したいと回答


「あなたがキャスティング・エージェントで、新しい番組のキャスティングをしなければならないと想像したとき、あなたならヒーロ役に誰を配役しますか?」という質問に対し、23.6%が「黒人男性を起用したい」と回答し、他の民族・性別の組み合わせを上回ったことが分かった。また、同様の質問で、“悪役のキャスティング”についての回答は、「白人男性を起用したい」、と回答した人が34.9%と最も多かった

ニコロデオンの9~12歳の子どもたちを対象にした、2019-2020年の研究「Shades of Us」では、ヒーロー役に白人男性を起用したいと回答した子どもが過半数を占め、いじめっ子や悪役には黒人やヒスパニック系を起用したいという回答が多くを占めていたことから、ティーンの人種に対するステレオタイプが変わってきているのではないか、と調査内で考察されている。

@zaneholmestiktok

Black kids react to little mermaid trailer!

original sound - Zane
※直近では、実写版『リトル・マーメイド』の主役でアフリカ系歌手の、ハリー・ベイリーが出演する予告動画が公開され話題に。子どもたちが歓喜する姿がSNSでもバイラルヒットとなっていた。

4.ティーンは他のどのメディアよりもSNSが信頼できると回答


「“本物だ”と感じられるコンテンツを作るのに最も適しているのはどのメディア空間か?」という質問に対し、SNSを回答した人が55.1%を占め、過半数を占めていたことが分かった。また、SNSサービスの中ではTikTokが最も“本物らしく”感じられるメディアとして64.9%を占めていた

「TikTokはクリエイターの多様性があり好きだ(多民族、15歳男性)」、「(一番そうだと感じるのは、)TikTok。正直なところ、TikTokにはとても大きなムーブメントがあり、歴史や世界中の不公平について学校では学べない多くのことをTikTokを通して学べている。(ラテン系、13歳男性)」といった声もあがっていた。

また、10代の若者の大多数(79.2%)は、「メディアで正確なリプレゼンテーションが欠けているとき、時々、あるいは常に、孤立感や動揺を感じている」と回答している。


これらの結果から、ティーンは現実的で、多様性に富んだ前向きなストーリーを見たいと考えているということが分かる。IndieWireでは、多様なバックグラウンドを持つキャラクターとメンタルヘルスを描く「ユーフォリア/EUPHORIA」と、2000年代(から10年代)の学園ドラマ「ゴシップガール」を例に挙げ、調査結果を分析している。UCLAの調査結果の詳細は、こちらから(英語のみ)確認ができる。
《Branc編集部》

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