「売りたい日本」と「慎重な海外」の狭間で。IMART Global Business Matchingで感じた、世界のマンガ取引の現在地

世界のマンガ・Webtoon業界の関係者が集まる国際商談会「IMART Global Business Matching」が3月下旬、開催された。コロナ禍で一気に拡大した海外需要の反動、供給過多、各国市場の成熟、紙代や物流費の上昇、国際情勢の不透明感――こうした要素が重なる中で、日本マンガはいま世界のどこに立っているのか。その現在位置を知るために、会場を取材した。

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「売りたい日本」と「慎重な海外」の狭間で。IMART Global Business Matchingで感じた、世界のマンガ取引の現在地
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  • 中央右奥が南川氏
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世界のマンガ・Webtoon業界の関係者が集まる国際商談会「IMART Global Business Matching」が3月下旬、開催された。各社がテーブルを構え、限られた滞在日程の中で国内外の企業が次々と面談を重ねていく、極めて実務的な“商談の場”である。

「日本のマンガは世界で売れている」という言葉をしばしば耳にする。だが、その実像はどうなっているのか。コロナ禍で一気に拡大した海外需要の反動、供給過多、各国市場の成熟、紙代や物流費の上昇、国際情勢の不透明感――こうした要素が重なる中で、日本マンガはいま世界のどこに立っているのか。その現在位置を知るために、会場を取材した。


「IMART Global Business Matching」とは

IMART Global Business Matchingは、マンガやWebtoonをめぐる国際ビジネスを、できるだけ短い時間で効率よく前に進められるよう設計されている。会場となった池袋のビルでは、各社が商談テーブルを構え、固定のブースに相手が訪ねてくる形式で商談が進む。海外から来日した関係者にとっては、限られた滞在時間の中で多くの企業と会えるメリットは大きい。IMART国際ビジネスセンター統括の平柳竜樹氏によれば、昨年までは1フロアのみで実施していたが、今年は規模拡大に伴って2フロアに会場を広げたという。

運営面の工夫も細かい。企業情報を登録する際に、自社が提供できることと、他社に求めることを詳細に記載でき、参加企業リストと合わせて、マッチングのおすすめ先が会期の数ヶ月前から週次でメールで届けられる。参加企業はこれを元に、積極的にアポイントの調整を進められる仕組みだ。

出展社の顔ぶれは多彩だ。出版社の他、Webtoonスタジオ、電子流通プラットフォーム、翻訳やローカライズ企業、さらには著作権代理店や、複数の出版社を代表する出版コンサルタントも参加している。

当然海外企業も参加している。北米、韓国や台湾、インドネシアやマレーシアといった東南アジアの企業も名を連ねる。

一般的なブックフェアなどは、より多彩な書籍を扱うがIMARTはマンガに特化しているのが特徴だ。扱うカテゴリの幅は狭いが、その分“出会いの密度”は高い。海外企業にしてみれば、日本まで来て各社を個別訪問する負担は大きく、日本側にとっても、一度に確実にマンガに関心のある海外企業と接点を持てる機会となる。

海外企業の視点:王道少年マンガだけではない日本マンガの「別の顔」を求めて

会場で実際に話を聞くと、海外と国内、それぞれの立場からマンガ取引の現在地が見えてきた。

MANGA SPLAININGの代表取締役、クリストファー・ウッドロー・ブッチャー氏は、出版ランキング上位の大手「少年コミック」しか知らない読者に、もっと幅広い日本マンガの魅力を見せたいと語る。

同社が取り扱う作品には、第二次大戦下の沖縄と現代の沖縄を重ねて描くノンフィクション作品、フルカラーでデザイン性の強い作品、AIやファシズム、人間の創造性といった現代的テーマを扱うハードSFまで含まれる。ウッドロー・ブッチャー氏は、フルカラーやデザイン性の高いマンガは比較的珍しいからこそ、あえて手がけたいと話す。英語版の制作にあたっては、日本語版にある手書き文字のニュアンスをどう再現するかにもこだわり、日本語版が手書きなら英語版も手書きで、と細部まで作品の手触りそのものを持ち込もうとしている。

そうしたこだわりの作品を扱うのは中小企業が多い。事業規模の小さい出版社は海外との接点を日常的に持つことは難しいため、こうした商談会のような場はきわめて貴重だろう。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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