2025年9月29日、米国のドナルド・トランプ大統領は、自身のソーシャルメディア「Truth Social」への投稿で、米国外で製作されたすべての映画に対して100%の関税を課す意向を改めて表明した。今年5月の同様の発言に続くもので、米国内の映像産業の空洞化に対する強い危機感が背景にある。しかし、具体的な対象範囲や実施方法は依然として不明確であり、産業界や議会からは懸念とともに代替案を模索する動きが出ている。
深刻化するハリウッドの空洞化が背景に
トランプ大統領が再び「映画関税」に言及した背景には、ハリウッドを中心とする米国映像産業の深刻な不振がある。「我々の映画製作ビジネスは、まるで赤ちゃんからキャンディーを盗むかのように他国に奪われてきた」と、トランプ大統領は投稿で述べ、特にカリフォルニア州の現状を批判した。
この発言は、具体的なデータによって裏付けられている。非営利団体FilmLAの調査によると、2025年第1四半期のロサンゼルス地域におけるロケーション撮影日数は前年同期比で22.4%減少し、特にテレビドラマは38.9%もの大幅な落ち込みを見せた。また、全米脚本家組合(WGA)の報告では、脚本家の雇用が過去2年間で42%減少するなど、雇用の面でも厳しい状況が続いている。
この「空洞化」の主な原因は、制作拠点の海外流出である。カナダやイギリス、東欧諸国などが提供する魅力的な税制優遇措置や補助金を求めて、多くのハリウッド作品が国外で撮影・製作されているのが現状だ。さらに、NetflixやAmazon Prime Videoといったグローバル配信プラットフォームが、世界各地でのローカルコンテンツ制作への投資を拡大していることも、この流れを加速させている。