英国では映画・テレビにおける短時間労働モデルが支持を集める

Varietyによると、英国の映像業界において、時短勤務を提案する新しいモデルが業界の支持を集めているとのこと。

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英国では映画・テレビにおける短時間労働モデルが支持を集める
UnsplashのMalvestidaが撮影した写真 英国では映画・テレビにおける短時間労働モデルが支持を集める

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Varietyによると、英国のメディアおよびエンターテインメント業界のための組合「Bectu」と提携するスコットランドの映画スキル訓練団体Bectu Visionは、フレキシブル・ワーキングをサポートする企業Timewiseとともに、映像制作における短時間労働の経済的影響に関する調査を行ったとのことだ。

「映画とドラマにおける短時間労働の青図を描く」と題されたこの調査では、プロデューサー、脚本家、俳優、スタッフを含むほとんどの回答者が、制作における長時間労働は「持続不可能」であり、スタッフ不足の一因になっていると考えていることが分かったとのことだ。

この研究では、1日の8時間労働と標準的な10時間労働それぞれで働くクルーを比較し、コストとスケジュールへの影響を調査。その結果、1日の労働時間を短縮して制作スケジュールを延長した場合、全体の制作コストは推定4%しか増加しないことがわかった。また、スケジュールの効率を維持できるよう、初期段階(特に本格的な稼働前とプリプロダクションの段階)でより多くの配慮が必要であることも明らかになったという。

Bectu Visionの共同マネージャーであるエイミー・ショー氏は、「現在の労働形態は、インクルージョンの門戸を閉ざしていることを意味します。家庭の事情や介護の仕事、他の仕事との両立を迫られている人たちを即座に失ってしまうのです」「スタッフのワークライフバランスを改善するために、プロダクションのコストはわずか4%増えるだけ。これは支払う価値のある価格です」とコメント。

また「長い間、業界を悩ませてきた長時間労働問題の解決策を見出すために、プロダクションとクルーの洞察に基づいたエビデンスを提示できることを本当にうれしく思います。この仕事は、業界がこの問題に取り組み、すべての映画やTVのフリーランサーにとってより健康的で、より幸せで、より持続可能な労働環境を作るために、前進するために非常に重要です」と述べている。なお研究を支援したBBCとScreen Scotlandが、現在その結果を受けて、改善策を検討しているという。

《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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