尺が3時間半の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』、休憩付きで上映した一部映画館を製作スタジオが取り締まり

途中休憩は、本作が映画館と結んでいるマスターライセンス契約に違反

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画像提供 Apple

マーティン・スコセッシが監督を務め、上映時間が3時間26分にも及ぶ新作映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に休憩を挟んで上映した一部の映画館に対し、製作を手がけたApple Original Filmsと配給元のパラマウント・ピクチャーズが取り締まりを行なっていることが明らかとなった。

1920年の米オクラホマ州を舞台にした本作は、居留地に暮らす先住民、オセージ族と町に入り込んでいった白人たちの間で実際に起きた連続殺人事件が描かれる。

Indie Wireによると、米コロラド州フォートコリンズの映画館「The Lyric」が、10月26日(木)まで『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を休憩付きで上映していたが、パラマウントとApple Original Filmsとトラブルになり、休憩時間を廃止したという。事情に詳しい人物によると、両社は映画に休憩を挟んで上映することで契約に違反した映画館に連絡を取り、休憩なしで本作を上映するよう警告したとのこと。

長尺とはいえ、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に休憩を挟んで上映することは、本作が映画館と結んでいるマスターライセンス契約に違反し、 その契約では「特定された映画館にて、映画は変更と休憩なしに上映される必要がある」と明記されている。

今週、両スタジオは同映画館に休憩を中止するよう通達し、英国のVue Cinemasも、映画館のチケット販売サイトに休憩を挟む上映枠が掲載されていたが、スタジオの介入後に削除されたそうだ。

Varietyによると、10月27日(金)の時点で、ヨーロッパの映画館チェーン2館とアムステルダムの独立系映画館1館が、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のチケットを休憩付きで販売していたという。また、ドイツとイタリア、ポルトガル、ブラジルで劇場チェーンを展開するUCI Cinemasの広報担当者は、イタリアの映画館2館とIMAXスクリーンを除く、残りの約80館で映画の中盤に「6分間の休憩」が設けられていると認めている。現時点ではパラマウントとApple Original Filmsが、これらの映画館にも同様の警告を発しているのかどうかは不明だ。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で編集を務めたセルマ・スクーンメイカーは、「誰かが休憩を挟んで上映していることは知っていますが、それ正しいことではありません。それは違反であり、そのことについて調べる必要があります」とコメントしている。

以前にスコセッシ監督は、休憩付きの上映についてではないが映画の長尺に言及しており、「尺が3時間あると言われますが、テレビの前で5時間座って観賞できる人もいますからね」と語っていた。

なお、Boxoffice Proでチーフ・アナリストを務めるショーン・ロビンスは、スコセッシの立場に同意している。「スコセッシが休憩の挿入を意図していなかったのであれば、少なくとも観客は、この映画を基本的に休憩なしで観賞するべきだと思います。とはいえ、本作は長いです。もし十分な需要があるのなら、そして特に、映画を観に行くことをやめるのではなくチケットを買いに行く決断の助けになるのであれば、少なくとも限定的な選択肢を設けることは、経済的な面においても現実的に検討できるのではないでしょうか」と見解を述べた。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は上映中。近日、Apple TV+にて配信開始予定。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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