マーベルVFXアーティスト、労働組合結成に満場一致で「賛成」票

VFXアーティストのみからなる団体が国際舞台従業員同盟(IATSE)と労働組合を結成したのは初となる。

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Photo by Ethan Miller/Getty Images MARVEL STUDIOS

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9月13日(水)に全米労働関係委員会(NLRB)が実施した投票で、マーベル・スタジオの視覚効果(VFX)労働者が国際舞台従業員同盟(IATSE)との労働組合結成に満場一致で賛成票を投じたことが明らかとなった。VFXアーティストのみからなる団体がIATSEと労働組合を結成したのは、これが初となる。

Varietyによると、8月7日(月)にマーベル・スタジオで働く約50名のVFXアーティストが申請した投票は、8月21日(月)から9月11日(月)まで3週間にわたって行われ、9月12日(火)の開票で反対票はゼロだったという。

マーベル映画のVFXアーティストグループは、今年公開された『アントマン&ワスプ:クワントマニア』やアニメーション映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』など、特殊効果を多用した作品に課せられた膨大な作業量や厳しい納期に苦言を呈した後、組合結成に向けて動き出した。ついに労働組合を結成したマーベルのVFXアーティストにとって、次のステップはスタジオとの組合契約作成となるが、まだ交渉の日程は決まっていない。


The Hollywood Reporterによると、ディズニー傘下の企業で労働組合を結成したVFXアーティストはマーベル・スタジオのチームだけだが、8月下旬にウォルト・ディズニー・ピクチャーズのVFXスタッフ18名も組合を結成するため始動したとのこと。この投票は9月15日(金)に始まり、10月2日(月)まで行われる予定だ。両VFXチーム共にスタジオに直接雇用されている従業員で構成されており、サードパーティーのVFX会社を通してマーベル映画やディズニー映画で働く数千人のアーティストは含まれていない。

マーベルでVFXチームのコーディネーターを務めるトーマス・バーナード氏は組合結成について、「これは歴史的なことであり、その一員になれたことを嬉しく思います。組合結成は、我々の仕事を通じてストーリーテリングの質を高めることにより、状況を根本的に変えるだけでなく、業界の構築に貢献した縁の下の力持ちを大切にするための大きな一歩でもあります」と語った。

なお、IATSEは一連の投票に後押しされる形で、年末までに全国的にローカルなVFX労働組合を発足させることを検討しているとのこと。IATSEでオーガナイザーを務めるマーク・パッチ氏によれば、国際映画撮影監督組合(ローカル600)や映画編集者組合(ローカル700)、美術監督組合(ローカル800)など13のローカル組合で、すでにエンターテインメント業界の労働者が使用している基本協約の下で働くことを目指すという。現行の基本協約は2024年に失効し、来年3月に新協約の交渉が開始される予定だ。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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