動画プラットフォームのJストリームは成長限界説を突破できるか?【決算から映像業界を読み解く】#26

動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」を運営するJストリームの業績が停滞している。

ビジネス 決算
動画プラットフォームのJストリームは成長限界説を突破できるか?【決算から映像業界を読み解く】#26
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動画プラットフォーム『J-Stream Equipmedia』を運営するJストリームの業績が停滞している。

コロナ禍の2021年3月期に売上高が前期の1.5倍となる129億7,000万円、営業利益は同4.3倍の23億4,200万円に跳ね上がったが、そこからの伸び悩みが鮮明だ。2024年3月期の売上高は前期比6.6%増の133億2,000万円を予想しているが、2023年4月1日から6月30日までの売上高は前年同期間比2.5%減少している。

主力とする医療業界で苦戦している。

NTTとKDDIが共同出資した異色の会社

Jストリームは1997年5月にKDDIの前身である国際電信電話と、NTTコミュニケーションズの子会社NTTPCコミュニケーションズ、トランスコスモス、アメリカのリアルネットワークスの共同出資で設立された。世界初のストリーミング専業サービスプロバイダーで、国内オンライン動画配信システムにおいてはトップクラスのシェアを獲得している。

2001年9月にマザーズに上場。2012年12月に第2位の株主だったNTTPCコミュニケーションズが、保有する全株式を売却した。現在は44.60%をトランスコスモス、10.85%をKDDIが保有している。Jストリームはトランスコスモスの子会社だ。

2012年に現在の主力サービスとなる『J-Stream Equipmedia』をリリースし、2018年に累計アカウント数が1,500件を達成。その後、コロナ禍で需要が急増し、2020年に2,000件、2021年には2,700件に達した。

決算短信より

コロナ前の2019年3月期の売上高は67億8,100万円、営業利益は3億1,300万円だった。営業利益率は4.6%。業績はパッとしない印象だったが、2021年3月期に売上高は軽々と100億円を突破し、営業利益率は18.1%まで高まった。

2019年に200円台で推移していた株価は、2020年12月3日に3,420円の高値をつけた。わずか1年で株価は10倍以上に膨らんだ。しかし、狂乱とも言える相場は去り、現在は400~500円台で取り引きされている。市場からはそっぽを向かれたと言えるだろう。

バーチャル株主総会や遠隔授業の需要増に取り残されたか

Jストリームの業績を押し上げた主要因は、医療分野の需要急増だ。もともと医薬情報担当者(MR)の営業活動は対面型からデジタル型へとシフトしていたが、コロナ禍がその流れを急加速させた。2020年度に医薬医療製造・卸領域の売上高は、前年比2倍以上となる45億8,700万円に急増している。

業種別売上高

決算説明資料より

しかし、Jストリームはその他の需要を取り損ねた。


《不破聡》

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