Netflix第2四半期決算、アナリストはパスワード共有取り締まりによる収益増加を期待

アナリストたちはNetflixのパスワード共有取り締まりで加入者数が増加することを期待しているようだ。

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UnsplashのVenti Viewsが撮影した写真 Netflix

大手ストリーミング会社として同業界を率いているNetflixが、米現地時間7月19日(水)に2023年第2四半期決算を発表。その前に決算をプレビューしたアナリストの多くが、アカウントのパスワード共有取り締まりによる収益増加を期待していたことが分かった。

Netflixのパスワード共有取り締まりで加入者数が増加

これまでにNetflixは中南米をはじめとする地域で、ユーザーが契約世帯外間でパスワードを共有できないようにするポリシーを推進し、追加料金を課すテストを行なってきた。その後、同社は2023年5月23日(火)より、米国およびその他の国の加入者に対し、「契約世帯外のユーザーは“追加メンバー”として追加料金を払って登録するか、もしくは自身でサブスクリプション料金を支払う必要がある」と通知し、ユーザーのパスワード共有の取り締まりを正式に開始した。

Varietyによると、米市場調査会社Antennaの統計では、Netflixがパスワード共有の取り締まりを開始後、米国における6月の新規登録者数が350万人を超えたという。この数字は、過去に同サービスで測定した単月のサブスクライバー獲得数としては最大規模となる。一方でNetflixの解約者数は6月も増加し、累計追加数と解約数の比率は、2020年4月の新型コロナウイルスによるロックダウン初期以来となる最高水準に達したとのこと。

ウォール街のアナリスト多数が、「Netflixの事業見通しは強気」と予想

米金融機関UBSグループのアナリストであるジョン・ホドゥリク氏は、共有アカウントの有料化でNetflixの収益が5%以上増加すると見ており、新ポリシーの導入が広告ティアの組み合わせによる成長と、より適切なターゲティングによる広告の規模拡大の鍵となると考えているという。同氏は、今後12カ月間の株価目標を390ドルから525ドル/株に引き上げ、Netflixの第3四半期について、「共有アカウントの有料化で売上高と営業利益の伸びが加速するだろう」と予想していた。

The Hollywood Reporterによると、米Pivotal Research Groupでアナリストを務め、ウォール街でNetflixの株式相場上昇を最も強気に予想しているジェフリー・ブロダルチャック氏は、6月にNetflixの目標株価を425ドルから535ドルに引き上げ、「買い」にしたとのこと。その理由として同氏は、「現在、共有アカウントで料金を支払わずに、Netflixを利用している約1億世帯以上を有料化することで、世界的な不況が予想される状況でも加入者数と収益、フリーキャッシュフロー(企業が自由に使うことのできる現金)の堅実な伸びを生み出すことができる」と指摘。また、「この動きは、Netflixの広告サポート層からの加入者と加入者の収益化のメリットによって強化されるはず」だと説明している。

その他に、米モルガン・スタンレーのアナリストであるベンジャミン・スウィンバーン氏もNetflixの株価をさらに100ドル引き上げて450ドルとし、「継続的な実行と競合他社の撤退、規律ある経費動向により、Netflixの事業の見通しは強気」だと予想していた。

Netflix、ハリウッドのストライキに備えて準備は万全

現在ハリウッドでは、映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)と全米脚本家組合(WGA)のストライキが続行中で、ほぼ作品の製作が不可能な状態となっている。しかし予想されていたストライキ突入に備え、4月にNetflixのCEOテッド・サランドス氏は、「長期間にわたってリリースできる作品を膨大に用意している」と発言。両組合のストライキが長引いても経済的な打撃を最小限に留められるよう、前もって準備を万全にしていたと自信を覗かせていた。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。