Bloombergの新しいレポートによると、Appleは劇場用映画に10億ドル(約1,300億円)程度の大規模な投資を行う計画を立てているとのことだ。
IndieWireが報じた内容によると、Appleは自社で製作する映画の一部について、他のスタジオに公開の提携を打診しており、同社は少なくとも1ヶ月の期間を設けて数千の映画館で映画を公開することを社内で検討しているとのことだ。大規模な劇場公開として、Apple TV+で配信予定のマーティン・スコセッシ監督の『Killers of the Flower Moon(原題)』は先に製作配給権を獲得していたパラマウント・ピクチャーズとの共同公開となっている。また、Bloombergはヘンリー・カヴィルとアリアナ・デボースが出演するマシュー・ヴォーン監督のアクション・スパイスリラー『Argylle(原題)』や、ホアキン・フェニックス出演でリドリー・スコット監督が手がける『Napoleon(原題)』も、より大規模な劇場公開が期待できると指摘している。
競合にあたるAmazonは、ストリーミング配信を開始する前に映画の知名度を上げるため、映画館での上映に10億ドル(約1,300億円)を投資していると報じられていた。実際に、ベン・アフレックとマット・デイモン主演で来月公開の『AIR/エア』に広い劇場での公開を許可している。また、すでに全世界で2億2,600万ドル(約294億円)の興行収入を上げた『クリード 過去の逆襲』では大きなヒットを飛ばした。そして、業界のベテランであるコートネイ・ヴァレンテ氏をAmazonが買収したMGMの映画部門の責任者に起用している。
Appleは以前にも映画館で映画を公開したことはあるが、主に限定公開か賞の受賞を狙ったプロモーションの一環としてだった。昨年のアカデミー賞作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』は、Appleがサンダンス映画祭で2,500万ドル(約33億円)で獲得したもので、世界興行収入は200万ドル弱(約2億円)だった。トム・ホランド出演映画『チェリー』も2021年に限定公開されたが、興行売上は報告していない。
また、Apple TV+はAmazon Prime Videoと同様に加入者数を公表していないが、加入者数は2,000万人から4,000万人と推定されており、ライバルとなるいくつかの競合他社に遅れをとっている。やはり劇場公開の長期化は、大スクリーンでの上映を望むタレントにも影響を与えると同時に、ストリーミング・プラットフォームの認知度を高めるための手段として強力なようだ。さらにBloombergは、Apple TV+がプレミアリーグの英国でのストリーミング配信権の入札を模索しているとも報じた。
2023年は全米興行が好調になると予想されており、Appleのこのニュースは業界にさらなる希望を与えることになりそうだ。