Huluの強みを活かした若手育成プロジェクト!「HU35」が引き出す新世代クリエイターの可能性

Huluによる新世代“映像クリエイター”発掘&育成プロジェクト「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」。企画プロデューサーの黒木彩梨氏(HJホールディングス)と、制作総括プロデューサーの西ヶ谷寿一氏(東京テアトル)にインタビュー。

映像コンテンツ 制作
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今年度が第2回の開催となる、Huluによる新世代“映像クリエイター”発掘&育成プロジェクト「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」

参加資格は35歳以下であること。選考を勝ち抜いたファイナリスト5組は映像制作のプロによるサポートと、1,500万円の制作費支援のもと、自身の企画の監督・脚本を務め、映像化する機会を与えられる。ファイナリストによる5作品は、完成後にHuluで独占配信。その中から審査員によって選ばれたグランプリ受賞者には賞金100万円が贈られ、副賞としてHulu全面バックアップのもとHuluオリジナルの新作を監督・配信することができる。

このプロジェクトの企画プロデューサーを務めるHJホールディングスの黒木彩梨氏と、制作総括プロデューサーを務める東京テアトルの西ヶ谷寿一氏に本企画への思いや若手クリエイター育成を通して感じていることなどを語ってもらった。

©2022 HJ Holdings, Inc.

若い監督がエンタメ業界を牽引していけるようにサポートしたい

――今年度で第2回を迎えた「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」はどういったプロジェクトなのでしょうか。

黒木Huluは様々なコンテンツを配信しているプラットフォームなのですが、昨年度のHulu日本上陸10周年を機に、もっと多種多様なエンタメ作品を生み出し、映像業界を活性化させたいという思いからこのプロジェクトを立ち上げました。

西ヶ谷第1回のときに「コンテストとコンテンツ作りをセットにした企画を一緒にやりませんか」とHuluさんからお誘いいただいたのがきっかけです。Huluさんは配信プラットフォームの中でも大きな媒体ですし、映画だけじゃなくドキュメンタリーやバラエティ、テレビドラマなど視聴者の層が幅広いところが魅力で、東京テアトルとしては若い監督がエンタメ業界を牽引していけるようにサポートしたいと常々思っていたので、それで協力させていただきました。

映画監督というと映画オタクなイメージがあるかもしれませんが、いまの時代iPhoneで手軽に動画を撮って編集する人も多いですし、“映像クリエイターってどんな感じかな? ちょっと応募してみるか”と、軽はずみな気持ちで応募できるようになっているので、そこもこの企画に惹かれたポイントでしたね。

――本プロジェクトのファイナリスト5組は映像制作のプロによるサポートと、1組あたり1,500万円の制作費支援のもと、自身の企画の監督・脚本を務め、映像化する機会を与えられることが大きな特徴ですが、昨年度の1,000万円から1,500万円に増額されたのはなぜでしょうか。

黒木このプロジェクトの良いところは、映像クリエイターとしての経験が全くない方でも気軽に応募できるところですが、Huluで配信することもあって、完成作品には商業作品としてのクオリティが求められます。ファイナリスト5組の育成プログラムをより充実させるために今回は1,500万円に増額して、前回以上にしっかりとサポートしていこうと考えております。

――本プロジェクトは35歳以下の方が対象となっていますが、若い世代にフォーカスを当てたのはなぜでしょうか。

西ヶ谷配信という出口はやはり若い人の視聴が多いと思いましたので、思い切って30歳以下で募集しようと最初は考えていましたところがリサーチしてみると、新しいことにチャレンジする年齢で一番多いのが32、33歳ぐらいだったので、35歳以下の募集に決めました。いまの日本のエンタメ作品を撮っている監督のほとんどが35歳を超えているので、若い世代がどういうものを作るのか見てみたいという気持ちもありましたね。

黒木第1回の審査員長を務めてくださった沖田修一監督も『南極料理人』が32歳ぐらいの頃、『キツツキと雨』が35歳ぐらいの頃の作品でしたよね。映像業界ですと、35歳ぐらいがターニングポイントになっているイメージがあります。

映像業界のプロと一緒に作品作りができる贅沢な環境を提供

――第2回の応募作品をご覧になってどんなことをお感じになりましたか?

黒木応募してくださった方々の企画書を読むと、“若い方たちはいまこういうことに注目しているんだな”とか“これがいまのブームなんだな”というのが見えてくるんです。今回は興味をそそられるタイトルも多くて、例えばファイナリストに選ばれた中林佳苗さんの『姉にヒュッゲを教えたい!』は“ヒュッゲってなに?”って思ったことを覚えています。そういった35歳以下ならではの着眼点はとてもおもしろいなと感じましたし、バラエティに富んだ作品ばかりだったので、一次選考・二次選考の段階でプロジェクトメンバーが選んだものが見事に分かれました(笑)

西ケ谷僕は、若い人たちは“自分にとって身近な物語に興味がある”ということ。だからこそ監督の個性が生きるプロットになっている印象を受けました。

黒木第1回のグランプリに選ばれた老山綾乃さんの『まんたろうのラジオ体操』がまさに監督の個性が色濃く出た作品でしたよね。

西ヶ谷そうですね。昔は映像クリエイターと言えばプロを目指している人がほとんどでしたが、いまや誰でも自分の映像作品をすぐにYouTubeで公開できてしまいます。先日、とある作品のオーディションをしたのですが、12歳から15歳ぐらいの女の子たちに趣味を聞くと『動画編集です』なんて返ってくるんですよね。すごい時代だなぁと驚きました(笑)

――第2回のファイナリスト5組はすでに決定していますが、具体的にどういった育成サポートが受けられるのか教えていただけますか。

西ヶ谷東京テアトルの若手プロデューサーがファイナリスト5組をサポートしますので、例えば『この本(映画の教本)のこの部分を読んでおくと現場で監督が何を指示するかわかるよ』など、各プロデューサーが自分なりのノウハウを使ってイチから指導します。また、現役の脚本家や映画監督の方を講師にお招きして、脚本の書き方や監督としての心構えなどをファイナリストたちにレクチャーしていただく講座も実施する予定です。

ただ、脚本を書くのも監督を務めるのもファイナリスト自身なので、スタッフからの質問に“YES”か“NO”で答えなければいけません。そういったディレクションができるように、クランクインまでには“自分がどんな映像を作りたいのか。何を伝えたいのか”を考えてもらうようにしています

黒木映像業界のプロのスタッフさんの中に飛び込めるって贅沢ですよね。

西ケ谷とっても贅沢で貴重なことだと思います。第1回の『まんたろうのラジオ体操』には、『花束みたいな恋をした』の撮影監督である鎌苅洋一さんと『溺れるナイフ』の音楽を手掛けた坂本秀一さんが制作スタッフとして参加されましたし、20歳の大学生だった第1回のファイナリスト幡豆彌呂史さんが監督した『鶴美さんのメリバ講座』には、『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞優秀撮影賞を受賞した伊藤麻樹さんが撮影監督で参加してくださっています。こういったプロの方々といきなり一緒に作品が撮れるなんてなかなかないことですよ。僕だったら怖くてできない(笑)

黒木映像制作が未経験の方だからこそ“すごいカメラマンと一緒に作るの?”といったプレッシャーを感じずにできるのかもしれませんね

西ケ谷作品にかける熱意さえ伝われば、みんな一生懸命サポートしてくださいますから安心して飛び込んで欲しいですね。

【予告編】「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」ファイナリスト作品&密着ドキュメンタリー

――最後に、映像に携わるお仕事をされているお二人から、映像クリエイターや映像業界を目指している方に向けてメッセージをいただけますか。

黒木自分が作った作品に対しての視聴者や観客のリアクションを見られるのが映像作品の良さの一つと思います。チームみんなで作った作品が、観た方に何か影響を与えることができるかもしれない。それは私自身、この業界で働いていてよく感じることでもあります。それから、エンタメ業界の第一線で活躍している方とご一緒できるかもしれないというのも映像業界の素敵なところかなと。色々な人と出会えるのがこのお仕事のおもしろさだと思います

西ヶ谷映像系のコンテストはたくさんありますが、他のコンテストと「Hulu U35 クリエイターズ・チャレンジ」で大きく違うのは、ファイナリストに選ばれると自分の作品がHuluで配信されるということです。映画館で1、2回流れたら終わりではなく、Huluで配信されている数々のコンテンツと並ぶことになるので、その中に入っても“絶対に観てもらいたい!”“他の作品に負けたくない!”という気持ちで挑むことが大事なのかなと思います。

黒木いわゆる大衆向けの娯楽大作は大規模でお金もかかっていますが、いまはコアな作品を選ぶ人たちもたくさんいて、コンテンツのひとつひとつが許容されている時代だと思います。まずは飛び込んでいただきたいですね。

西ケ谷今後も「Hulu U35 クリエイターズ・チャレンジ」のような企画が増えることで視聴者も作り手も映像作品への興味が高まればいいなと思っています。

《奥村百恵》

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奥村百恵

奥村百恵

音楽誌・映画雑誌の編集部を経て、現在はフリーのライターとしてエンタメ系のコラム執筆や著名人、起業家など幅広いジャンルのインタビュー記事を執筆。大手エンタメ系サイトから映画専門雑誌など様々な媒体のインタビューページを担当している。

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