Apple TV+は4,500万人の加入者がいるが、年間で10億ドル(現為替で約1,460億円)の損失を出していることが明らかとなった。
Varietyが報じたThe Informationの報告書によると、Apple TV+はストリーミングサービスのコンテンツに年間45億ドル(約6,600億円)を費やしており、その数字は過去数年間における50億(約7,330億円)ドルから減少している。年間10億ドルの損失は巨額に思えるが、Appleの全体的なビジネスにおいては「誤差の範疇」に過ぎない。iPhoneが主な収益源となるAppleの売り上げは、2024年通期(2023年10月1日~2024年9月28日)で3,910億ドルに達した。
同社は、Apple TV+の財務指標や加入者数指標を開示しておらず、ストリーミング事業は、Apple Music、App Store、その他の事業を含むAppleのサービス部門の一部となっている。サービス部門の2024年10~12月期の売上高は263億ドル(約3兆8,650億円)で、前年同期比で14%増だった。
IndieWireによると、AppleはApple TV+の加入者数を具体的に発表していないが、The Informationが発表した4,500万人の加入者数はPeacockよりも多く、Paramount+より少ない。いくつかの調査によると、Apple TV+は総ストリーミング視聴の1%未満を占めているとのこと。Apple TV+のドラマシリーズ「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」や「セヴェランス」などの番組は、ニールセンのストリーミング・ドラマシリーズの人気ランキングに食い込むほど人気が高いが、Appleは視聴者数の点で、依然としてNetflixやAmazonなどに比べて大きな遅れをとっている。
しかし、Apple TV+は赤字体質ではあるものの、多額の支出をしているわけではない。映画『ARGYLLE/アーガイル』と『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』が興行的に大失敗に終わったことを受け、劇場公開を縮小して支出額を抑えている。2024年9月には、ジョージ・クルーニー&ブラッド・ピットの共演映画『ウルフズ』の劇場公開を撤回する措置を取った。
Appleが損失を食い止める方法のひとつとしてサービスへの広告導入があるが、現時点で同社は消極的だ。大手ストリーミングサービスで、広告付きの割引プランを提供していないのはApple TV+だけだ。 しかし同社は、Appleにとって最大の競合となるAndroid端末で、Apple TV+のアプリをダウンロードできるようにするなど成長のための対策を講じている。したがって、いずれ広告導入に踏み切る可能性も考えられそうだ。