ニューヨーク州知事、映画・ドラマを対象にした税額控除の拡大を提案

ニューヨーク州のホークル知事が映画・ドラマ向けの税額控除拡大を提案。他の州との競争や申請減少を受け、控除額上限撤廃や新たな予算案も示されたが、批判も上がっている。

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ニューヨーク州知事、映画・ドラマを対象にした税額控除の拡大を提案
Photo by Vlad Alexandru Popa ニューヨーク州知事、映画・ドラマを対象にした税額控除の拡大を提案
Varietyによると、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事が、映画・テレビ制作の急激な減少への対応として、映画・ドラマに対する税制対策をいくつか提案したとのことだ。

ニューヨーク州は2023年に映画産業に対する税優遇措置年間を4億2,000万ドルから7億ドルへとほぼ倍増させ、税額控除率を25%から30%に引き上げ。俳優・監督・脚本家・プロデューサーの給与の最初の50万ドルを控除対象としたにもかかわらず、税額控除の申請は5年前の数字から53%減少している。

そんな中、他の国や州と同じく映画制作者を誘致するため、ホークル知事は上記の控除対象額の50万ドルの上限を撤廃することや、2年または3年の期間が割り当てられている入金までの遅れをなくし、初年度に全額を入金すること、州内で少なくとも3本の大規模映画を製作する会社には30%の基本控除に加えて10%のボーナスを支給すること、インディペンデント映画のために新たに1億ドルの資金プールを設けることなどを掲げている。

一方でこの案へ批判的な意見も上がっており、監視団体リインベント・アルバニーは「この動きによって納税者にさらに18億ドルの負担がかかり、13年間で総額95億ドルに達する」と試算しているとNew York Postは報じている。また、金融アドバイザリー企業PFMグループによる分析では、このプログラムによって州の納税者に還元される収入は1ドルあたり31セントにすぎないことが判明した。

Empire Center for Public Policyの調査ディレクターであるケン・ギラルディン氏は、「ニューヨークはすでに映画業界を魅了するのに十分な信用があり、このプログラムは膨大な無駄遣いである」と述べているが、この背景には隣のニュージャージー州に撮影が移行していることがあるという。

《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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