『ONE PIECE FILM RED』が驚きの規模で再上映 200億円は通過点?

昨年の映画シーンを飾った大ヒット作品『ONE PIECE FILM RED』が10月20日(金)から1か月間のアンコール上映を実施する。特典などの施策にも力を入れ、累計興収200億円超えを目指すか。

映像コンテンツ 興行収入
New York Premiere of Crunchyroll's
Photo by Monica Schipper/Getty Images for Crunchyroll New York Premiere of Crunchyroll's "One Piece Film Red"

Photo by Monica Schipper/Getty Images for Crunchyroll

昨年の映画シーンを飾った大ヒット作品『ONE PIECE FILM RED』。2022年8月の公開から翌年の2023年1月末まで粘り強い興行展開を見せ、累計興収は197.1億円の歴史的な売上を記録した。

そんな本作が、10月20日(金)より1ヶ月限定で再びスクリーンに帰ってくる。

今回は“アンコール上映”と銘打ち、昨年の劇場上映からDVDや配信用にリテイクを行った特別版を4Kアップコンバートして上映。驚くべきはその公開規模で、全国366館とほとんどの劇場で公開することとなっている。『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の160館や『すずめの戸締まり』の100館を超えるかなりの規模感となっており、上映も1日1回だけではなく数回行っている劇場が多い。

上映規模の大きさについては、今年の10月公開作が映画ランキングで一度も首位を獲れておらず、10億円超えを見込める作品もほとんどないことから、興行会社が本作に期待を込めている可能性は高い。そして何より、ここまでの上映規模が実現したのは、他作品を寄せ付けない圧巻のヒットを記録した本作に対する大きな信頼の現れだろう。

▼※10月に入ってもなお、9月公開の映画『ミステリと言う勿れ』が映画ランキング首位を独走中。


原作の盛り上がりやNetflix実写ドラマの世界的ヒット、完売続出のカードゲームなど話題の尽きない「ONE PIECE」だが、本作は再上映でどこまで数字を伸ばすのだろうか。

「コナン」再上映との違い

現時点で累計興収が197.1億円に達している本作。まず、興行収入における再上映のシステムを解説すると、再上映分の興行収入は元々の興行収入に加算することが可能だ。最近では『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の歴代興収更新が騒がれていた際に、『千と千尋の神隠し』がタイミング良く再上映分の興行収入を加算したことがニュースとして記憶に残っている人も多いだろう。

つまり、ルール上では今回の上映によって累計興収200億円の大台に到達することが可能となっている。

同様のケースとして、一昨年『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が作品の時系列に合わせ11日間のハロウィン上映を実施。再上映前の興行収入が92.8億円だったため、100億円到達が期待されていたが、惜しくも最終興収は97.8億円となった。

ここで本作と「コナン」の再上映における違いとして、上映期間(『ONE PIECE FILM RED』は1ヶ月、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は11日間)や公開規模(『ONE PIECE FILM RED』は366館、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は160館)が挙げられる。

ただし、最も異なっているのは上映のタイミングだ。本作は公開から1年以上が経過しており、既にDVDや配信で公開されているが、「コナン」のハロウィン上映はDVD発売直前の企画であった。『ONE PIECE FILM RED』はBlu-ray、DVDの発売からすでに4ヶ月以上が経過し、Amazonプライム・ビデオでは7ヶ月前から見放題配信が行われているため、現在も気軽に視聴が可能な状況となっている。

つまり、単純に作品を観たい場合は数百円で簡単に鑑賞ができてしまうのだ。

「音楽映画」としての価値と根強いファンの支え

そのような状況下でも東映アニメーションが勝負を仕掛け、全国の劇場がそれに応えている理由として挙げられるのはやはり「音楽映画」としての価値だろう。


《タロイモ》

関連タグ

タロイモ

タロイモ

中学生時代『スター・ウォーズ』に惹かれ、映画ファンに。Twitterでは興行収入に関するツイートを毎日更新中。