映画『ミステリと言う勿れ』特大ヒット、邦画実写界に吹くテレビドラマ旋風

映画『ミステリと言う勿れ』が公開から3週連続で動員数ランキングで首位を獲得。邦画実写の売上を主にテレビドラマの派生作品が牽引している2023年だが、コロナ前と比べても大きな変化が見られるようだ。

映像コンテンツ 興行収入
映画『ミステリと言う勿れ』特大ヒット、邦画実写界に吹くテレビドラマ旋風
映画『ミステリと言う勿れ』特大ヒット、邦画実写界に吹くテレビドラマ旋風

Image by macrovector on Freepik

急速なスマートフォンの普及により、テレビ離れが加速していると言われる現代。実際、広告費ではついにインターネット広告がテレビ広告を追い抜いたという事実もある。

しかし、人々のテレビに対する興味や関心はまだまだ根強いと言えるだろう。X(旧Twitter)には連日テレビ番組に関するワードがトレンド入りし、最近ではTBSの日曜劇場「VIVANT」がソーシャルメディアに留まらず広く話題になった。視聴率も初回の11.5%から最終話は瞬間視聴率20.8%を記録するまでの大躍進となっている。莫大な制作費をかけ、TBSの社運を賭けたチャレンジは大きな成功を収めたと言っていいだろう。

そんな中、映画界でも猛威を奮っているのがテレビドラマの劇場版作品だ。9月15日に公開となった映画『ミステリと言う勿れ』は公開から3週連続で動員数ランキングで首位を獲得。累計興収は30億円に迫る数字となっている。上半期の実写映画No.1となった『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』も44.8億円の大ヒットを記録するなど、今年は主にテレビドラマの派生作品が邦画実写の売上を牽引してきた。

ドラマ作品は既に固定ファンがいることから、安定したヒットが見込める点はもちろん、制作面でもドラマと同じスタッフやノウハウでスムーズなスケジューリングが可能だ。

ただし、驚くべきことにこの構図はコロナ禍以前のものとは大きく異なっている。

「テレビドラマの劇場版」作品数はコロナ禍以前の約3倍に

コロナ禍前の2016~2019年までの4年間、コロナ禍後の2020~2023年までの4年間を比較すると、テレビドラマの劇場版作品(民放のみ、深夜ドラマを除く)の数は約3倍に増えている

実際、2019年の邦画ランキング上位10作品の中にドラマの劇場版作品は1作品もランクインしていない。一方2022年の邦画ランキングを見てみると10作品中3作品がテレビドラマの劇場版作品となっており、その存在感を大きく増している。

しかし、なぜ邦画実写の構図が大きく変わってしまったのか、その背景には言わずもがなコロナウイルスが影響している。まず1つ目は、コロナ禍を経てヒットする作品としない作品の乖離が激化した点だ。


《タロイモ》

関連タグ

タロイモ

タロイモ

中学生時代『スター・ウォーズ』に惹かれ、映画ファンに。Twitterでは興行収入に関するツイートを毎日更新中。