英調査会社Omdiaは1月24日、無料広告型ストリーミングテレビ(FAST:Free Ad-supported Streaming TV)に関する最新の調査レポートを発表した。 レポートによると、FASTチャンネルの収益は2019年から2022年の間に約20倍に急成長しており、2027年までにはさらに3倍増となる120億ドル(約1.5兆円)規模に達すると予測されている。
Omdiaのメディア&エンターテインメント担当シニアディレクター、マリア・ルア・アグエテ氏は、「今後5年間でチャンネル数と収益は著しい成長を遂げるだろう」と述べている。米国ではすでに1,500以上のFASTチャンネルが利用可能であり、2022年時点の市場規模は約40億ドル。これは世界市場の約90%を占める数字だ。
同社の予測では、2027年までに米国のFAST市場は100億ドルを突破するものの、世界シェアは86%まで低下すると見られている。これは米国以外の市場が急速に立ち上がるためで、特に英国、カナダ、ドイツ、ブラジルでの成長が著しい。 アグエテ氏は、「コンテンツ所有者にとってFASTは、古いライブラリや未使用のコンテンツを収益化する新たな選択肢を提供する」とそのメリットを強調した。
一方、従来型の定額制動画配信(SVOD)も底堅い動きを見せている。 マイアミで開催されたContent AmericasでのOmdiaの発表(Variety報道)によると、2023年のストリーミング配信の新規契約数は1億4,300万人増加すると予測されている。これはロックダウン特需のあった2020年(2億8,000万人増)と比較すれば半減しているものの、2017年から2019年の平均成長率と比較すれば健全な水準だという。
注目はラテンアメリカ市場の動向だ。Omdiaのプレスリリースによると、ブラジルのFAST市場は2027年までに1億ドルの収益に達し、ラテンアメリカ全体の約半分を占めると予測されている。 また、同氏は「2023年はオンライン動画広告の収益が2,210億ドルに達し、他のメディアセグメントを上回るだろう」とも指摘しており、動画配信市場は「サブスクリプション一本足」から、FASTを含めた「広告モデルとのハイブリッド」へと、明確に構造変化を起こしていると言えそうだ。

